RPA導入で重要な業務フローとは? 業務フロー作成の重要性や作成の手順とポイント
2025.2.17
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音声認識AIはスマートフォンやタブレットなど日常的に使用しているデバイスにも搭載されており、身近な存在です。普段から利用して情報収集を行っている方もいるでしょう。行政や企業でも音声認識AIを導入する事例は多く、今後もさまざまなビジネスシーンでの活用が増える見込みです。しかし、実際にどのような仕組みで音声を認識し、文章化しているのかを理解している方は多くないでしょう。
本記事では、音声認識AIの概要や仕組み、課題について解説します。社内の業務効率化に役立つ実際の活用事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。
音声認識AIは、人が発した声を解析して文章に変換する技術を指します。具体的なシステムを挙げると、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに搭載された音声入力やスマートスピーカー、カーナビゲーションシステムなどが身近な例です。
音声認識AIについて理解するには、基本概念や音声から文章化する仕組み、活用されている技術を押さえておくことが重要です。
人が話した言葉をAIが聞き取って文章化する音声認識AIの技術進歩には目覚ましいものがあります。音声認識AIによって、今までは手作業で行っていた文字起こしなどを自動化でき、さまざまな業務の効率化に活用可能です。
また従来の音声認識では、口語的な言い回しや方言を認識することが困難でした。しかし音声認識にもAIを活用するようになり、自然な会話や複雑な表現を正確に認識できるようになっています。
音声認識AIの精度は日進月歩で、今後さらにさまざまな分野で普及する見込みです。
従来の音声認識は、統計的なモデルに基づくGMM-HMM型で、音声データを解析していました。しかし、深層学習が登場したことによって、音声認識の精度が向上しました。音声認識AIに搭載されている深層学習は、大量のデータからAIが自動的に特徴を見つけ出して学習する技術です。
従来のGMM-HMM型で必要とされていた以下2つの過程を、深層学習ではニューラルネットワークを用いて処理します。
従来のモデルで行っていた処理をニューラルネットワークが担うことで、高精度な音声認識が可能となりました。近年注目が集まるEnd-to-Endというモデルでは、言語モデルと発話辞書の組み合わせを一つのニューラルネットワークにまとめて出力できます。ただし、End-to-Endはまだ開発途中であり、結果の出力に時間がかかります。今後、処理速度や精度が向上すれば、さらに普及する可能性もあるでしょう。なお、音響モデルを活用するためには、音響分析という前処理を行う必要があります。
音声を認識して文章化するには、音響分析や言語モデルが欠かせません。ここでは、それぞれの主な役割を解説します。
音響分析とは、人が話す言葉をAIが理解できるようにするために必要な前処理です。AIは生の音声か否かを理解できないため、処理できる状態に変換しなければなりません。具体的には、マイクで拾った音声をAIが処理できるように数値化します。生の音声には環境音などのノイズが含まれているため、音響分析の段階で排除が必要です。
一方、言語モデルとは人が使う自然言語をAIが理解して、文章を生成する技術です。言語モデルには統計的言語モデルと大規模言語モデルの2種類があります。統計的言語モデルは単語の出現頻度を分析して、次に来る単語を予測する技術です。大規模言語モデルは、深層学習を活用して複雑な文章を処理します。
また音声認識AIにおける言語モデルは、人が話した言葉を文章化する際に使われる技術です。
音声認識AIを活用して音声を文章化する仕組みとしては、主にGMM-HMM型が採用されています。音声を文章に変換する際に、音響モデル・言語モデル・発音辞書の3つを利用しているのが特徴です。また大まかな流れとしては音声をAIが処理できるデータに変換し、膨大な学習データを参照しながら文章化して出力します。
音声認識AIの仕組みについて、要点を押さえておきましょう。
音声認識のプロセスでは、マイクを使って周囲の音声を録音します。環境音を排除してクリアなデータを取得するには、ノイズキャンセリング機能が付いたマイクを使用するのがおすすめです。ノイズキャンセリングでデータに含まれるノイズを軽減することで、音声認識の精度をより高められます。また録音時のデータはアナログ形式で収集されているため、AIが処理できるようにデジタル形式への変換が必要です。
データをアナログ形式からデジタル形式に変換することを、音響分析と呼びます。音響分析によって音声の周波数や強さなどが数値化されたデータは、AIが音声の特徴を捉える際に欠かせない要素です。
音響分析で得られたデータを基に、AIが音声認識を実施して文章を出力します。
音響モデルは、音声データを構成する最小単位である音素を抽出するための技術です。日本語における音素は、母音・子音・撥音を指します。音響分析で得られた音声データは、次の工程で全て音素に置き換えられます。
また、音響モデルの役割は音声データの分解と照合です。録音された音声データを音素に分解し、膨大な学習データを基に比較して、どの音素に近いのかを判断します。例えば「こんにちは」を分解した音素は「k-o-N-n-i-c-h-w-a」です。
さらに、音素が特定されると次はその音素に対応する文字に置き換えられ、最終的に文章が出力されます。
音素から文章へと変換するには、言語モデルと発音辞書を組み合わせます。
言語モデルは前述した通り、膨大な日本語文章を学習して新しい文章を作成する技術です。音声認識で利用される言語モデルは、ある単語の後にどの単語が来るのか確率を計算して文章を生成します。
例えば、「良い」「天気」「今日は」という単語がある場合、「今日は天気が良いです」という自然な文章を生成することが可能です。
一方、発音辞書には、発音と単語の対応関係が登録されています。音響モデルで抽出した音素を単語に結び付ける役割を持つのが特徴です。音声認識AIでは、発音辞書から得られた単語を言語モデルと照合して、より自然な文章を生成しています。
言語モデルには、隠れマルコフモデルとn-gramの2種類があります。
隠れマルコフモデルとは、ある単語の後にどの単語が続くのかを、過去の文章データを参照することで推測するモデルです。音声認識においては話者が意図する言葉やフレーズが隠れた状態であり、推測によってデータの背後にある意味や意図を理解します。また、隠れマルコフモデルの種類は、一度しか遷移できない「Left-to-Right HMM」と、再び遷移できる「Ergodic-HMM」の2つです。多くの場合、言語モデルではErgodic-HMMを使用します。
一方、n-gramは自然言語処理において文章の特徴を数値化し、AIで処理するために使われます。連続するn個の単語や文字を用いて、文章を生成する手法です。
例えば、「明日の天気は晴れです」を3‐gramの単語で表すと以下のようになります。
このように、n-gramでは文字や単語を単位として、文字列を推測するのが特徴です。
音声認識AIの普及は進んでおり、さまざまな業界で活用されています。例えば、手動で行っていた文字起こしに活用すれば、リアルタイムの文字起こしによって業務の効率化が可能です。またコールセンターに導入した場合は、時間外の問い合わせにも対応でき顧客満足度の向上につながります。
自社で導入した場合をイメージできるように、音声認識の活用事例を確認しておきましょう。
音声認識AIはコールセンターに導入されており、業務効率化に貢献しています。
コールセンターにおける音声認識AIの主な役割は、オペレーターの業務改善です。従来、オペレーターはユーザーとの通話内容を手動で文章化していました。しかし、手動での文章化は時間がかかり、負担になっていました。他にも業務があるため通話内容の記録に時間をかけていては、顧客対応に影響を与えかねません。
深層学習の活用によって音声認識AIが進歩したことで、今まで手動で行っていた作業を自動化できるようになりました。これによって、オペレーターの負担軽減につながるとともに、顧客対応に時間かけられるようになり、顧客満足度の向上にも期待できます。
また文字起こし後のデータを自然言語処理で分析すれば、業務改善やサービス向上も可能です。
音声認識AIの導入によって議事録作成の自動化が実現しており、業務の効率化につながっています。
従来、議事録は会議の録音内容から手作業で文字起こししていたため、作成に膨大な時間がかかっていました。また議事録の仕上がりは担当者のスキルが左右しており、内容の正確性に不均一が生じるのも問題です。しかし、会議や打ち合わせの際に音声認識AIを活用することで、ほぼリアルタイムによる議事録の作成が可能となりました。
録音したデータから手作業で文字起こしをする必要がなくなり、大幅な時間の短縮に貢献しています。聞き間違えや入力ミスなどを減少させ、より正確な議事録の作成も可能です。また音声認識AIの活用シーンは社内会議だけではありません。電話対応の記録や商談など幅広いシーンで活用でき、業務効率化の促進が期待できます。
音声認識AIを駅や公共施設で活用することで、利用者の利便性を向上させられます。
駅を例に挙げると、これまで旅行客など利用者からの問い合わせ対応が、駅職員の負担となっていました。特に利用者数の多い観光地の最寄り駅では、問い合わせ対応によって他の業務に支障が出る場合もあります。多言語対応の音声認識AIを導入することで、海外からの観光客の対応も可能です。情報案内を自動化できるため、言語能力に長けた職員をわざわざ配置する必要もありません。
鉄道会社の事例では、音声認識システムを活用したお客さま案内の実証実験を行っています。期間は2024年12月から2025年1月にかけての約1カ月間で、つくば駅構内に情報案内を設置します(※)。
実証するシステムにはAIが活用されているため、会話をリアルタイムで翻訳して回答をディスプレイに表示可能です。29の言語に対応しており、インバウンドの観光客だけでなく、聴覚に障がいがある方への対応も期待されています。
※参考:首都圏新都市鉄道株式会社.「リアルタイム音声認識システム「YYSystem」を活用した文字ディスプレイによるお客さま案内の実証実験をつくば駅で実施します」.57aed11f882ad1ec5b8961cdbbc22643.pdf,(参照2025-01-24)
音声認識AIは既にさまざまな分野で活用されており、業務効率化や顧客満足度の向上などのメリットがあります。しかし、簡単に導入できるわけではなく、クリアなデータの取得や導入にかかる手間や、環境整備などの課題を解決するための対策が必要です。
自社に音声認識AIの導入を検討している担当者は、課題についても把握しておきましょう。
人の耳はカクテルパーティー効果という機能を持っており、パーティー会場や繁華街などの騒がしい場所であっても、特定の音声を聞き分けることができます。
しかし従来型の音声認識AIは周囲の環境音が聞こえる場所での音声データの取得や、複数人の会話から特定の音声を抽出することが苦手です。雑音やノイズに弱いため、環境が認識精度に影響します。
AIは人の知覚や知性を再現するための技術ですが、まだ人と同じ機能を有するまでには至っていません。近年はAI技術の向上によって、騒音下でも特定の音声を聞き取れる音声認識システムが登場していますがめ、より精度を高めるにはクリアな音声データの取得をおすすめします。前述したようにノイズキャンセリング付きのマイクを使用しましょう。
音声認識AIの精度を高めるには、質の高い大量の訓練データを学習させなければなりません。蓄積されたデータの量や質が、正確な出力に影響を与えるため注意しましょう。
例えば、特定の話し方やアクセントなどに偏りのあるデータを学習した場合、他の音声を正確に認識できない可能性があります。そのため、多様な話し方やアクセントのデータを学習することが必要です。特にゼロから音声モデルを構築する場合は、膨大なデータの学習が求められます。また曖昧なデータや誤ったデータは精度を低下させる原因となるため、学習するデータの選別が必須です。
音声認識AIが普及したことで、API(Application Programming Interface)やデータセットを無料で入手できるようになりました。しかし、精度の高いデータを求めるなら、有料のデータセットも選択肢に入れておきましょう。
音声認識AIを開発する場合、その規模や複雑さによって運用コストが変動します。
自社で運用するにはデータ収集やモデルの開発・トレーニング、デプロイなどの工程が必要です。導入初期だけではなく、各段階で費用が発生します。そのため、初期費用から運用コストまで考慮した上で、導入を判断しなければなりません。また音声モデルの開発やAIの導入には、インフラ環境の整備も必要になります。
大規模な処理にはデータセンターに設置されたサーバー、小規模な開発でも高性能なパソコンが不可欠です。他にも、AIの処理速度を最適化するには、大量の並列計算が行えるGPU(Graphics Processing Unit)も導入しましょう。このように、運用コストとインフラの負担なども、音声認識AIを導入する際のハードルとなっています。
音声認識AIは業務効率化や顧客満足度など、企業が抱える悩みを解決するために導入されます。導入自体が目的ではないので、目的達成に向けて適切な運用を行わなければなりません。
ここでは、音声認識AIを導入する際の3つのポイントを解説します。導入後に成果を出すために、しっかりポイントを押さえましょう。
音声認識AIを導入する際は、利用シーンによって選択すべきモデルが異なります。
例えば、コールセンターの業務を効率化したい場合は、AIチャットボット機能が必要です。インバウンドの観光客対応を目的とした導入なら、多言語対応のモデルを選ぶのが良いでしょう。まずは自社に導入する目的を明確化して、ニーズに合った機能を搭載したモデルを選ぶことをおすすめします。その上で、自社に必要な機能をリストアップしておきましょう。
また導入する音声認識AIによっては、音声翻訳や多言語対応、AIチャットボットなど多様な機能を拡張できます。既存システムとの連携に対応したモデルであれば、さらなる業務の効率化も可能です。今は必要でなくても、今後使いたい機能が増えることを見越して、自社に合ったモデルの選択がおすすめです。
音声認識AIを導入する際は、音声データのクレンジングと精度向上対策を行いましょう。
クレンジングとは、分析に影響を与える誤ったデータや重複したデータを削除することです。音声認識AIはデータに誤りがあると、正確な結果を出力できなくなります。そのためクレンジングを実施して、データをクリアな状態にすることが重要です。
また精度を向上させるには、前述したように多様な音声データの学習が求められます。日常的な言い回しやアクセントなどを学習することで、さまざまなパターンを理解して正確な認識が可能です。他にも、一般的な言葉だけでなく専門用語や固有名詞などの学習により、コミュニケーションの幅を広げられます。音声認識AIは今後も技術が進歩する見込みですが、精度向上のためには音声データもAIが理解しやすい言葉を選びましょう。
音声認識AIの導入後は、モニタリングと運用体制の構築を欠かさずに行いましょう。
モニタリングとは、コンピューターシステムやネットワークが正常に作動しているのかを監視することです。具体的には性能や稼働状況、障害発生の有無、セキュリティー状態などを確認します。モニタリングの実施によって、障害発生時に早期発見が可能です。リアルタイムで状況を分析することで、トラブル発生の予測にもつながります。
またモニタリングを実施するには、運用体制の構築も不可欠です。特に導入直後はトラブルが発生しやすいため、専任の担当者を配置しましょう。担当者が異動したり退職したりした場合に運用が滞らないように、ナレッジ管理や品質管理を徹底することも重要です。
音声認識AIは、スマートフォンやタブレットに搭載された音声アシスタントをはじめさまざまな分野での活用が広がっています。また業務効率化や顧客満足度の向上などの目的を達成するために、多くの企業が音声認識AIの導入を進めています。ただし、導入するには音声データのノイズ排除や訓練データの準備、運用面の課題などがあるため、AIに関して理解を深めた上で導入を検討することが重要です。
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