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AIエージェントを導入する際のリスクとは? ガバナンスの問題や対策も解説!

AIエージェントの導入を考える際、リスクについて懸念する方も多いでしょう。本記事ではAIエージェントの導入時のリスクや取るべき対策などを解説します。

AIエージェントは、業務効率化や社員サポートの強化を目的に注目を集めています。しかし、導入を検討する際には「情報漏えいのリスクはないか」「不正利用や誤作動が起きたらどうなるのか」と不安を抱える方も少なくありません。

そこで本記事では、AIエージェントの基本的な特徴から、導入に伴うリスク、取るべき対策までを分かりやすく解説します。自社のAIエージェント導入を検討する際に、ぜひ参考になさってください。

【この記事で分かること】
AIエージェントとは、自律的に判断し行動できるシステムのこと
AIエージェントを導入する際はいくつかのリスクを押さえておく必要がある
AIエージェントにはガバナンスの問題もある
AIエージェントを導入する際にはさまざまな対策が必要になる

AIエージェントとは?

AIエージェントとは、人間の指示を待つ従来型のAIとは異なり、自律的に判断し行動できるシステムを指します。単なる情報処理ではなく、状況理解からタスクの優先順位の決定、実行までを行う点が特徴です。

例えば、カスタマーサポートにおける問い合わせ対応や、財務データの分析、RPA(Robotic Process Automation)の代替としての事務作業など、幅広い領域で活用が進んでいます。

従来のAIは「質問に答える」役割が中心でしたが、AIエージェントは「戦略的パートナー」として業務を支える存在へ進化しているのです。この違いを理解することで、導入による価値やリスクをより正しく把握できるようになります。

AIエージェントを導入する際に知っておきたいリスク

AIエージェントには業務効率化をはじめとする多くのメリットがありますが、その一方でリスクも存在します。以下で詳しく解説します。

情報漏えい

AIエージェントの導入において懸念されるリスクの一つが、情報漏えいです。AIは業務を効率化するために大量のデータへアクセスしますが、その中には顧客情報や財務データなど機密性の高い内容が含まれることもあります。

サイバー攻撃による不正アクセス、内部担当者の不正利用、さらには設定ミスによって想定外の情報が共有されるケースもあり得ます。こうした事態は企業の信用失墜や損害賠償につながりかねません。

リスクを軽視せず、権限管理や暗号化、定期的な監査などの対策を講じることが大切です。

AIモデルへの攻撃

AIモデル自体が攻撃対象となるリスクは見過ごせません。代表的なのが「敵対的攻撃(adversarial attack)」です。これは、画像やテキストに人間には判別しづらい微小なノイズを加えることで、AIが誤った判断を下すよう誘導する手法です。

研究事例としては、画像認識AIが本来は「パンダ」と認識すべき画像を「グリズリー」と誤認させられる例が知られています。また「モデル汚染(data poisoning)」と呼ばれる手法では、学習データに意図的に不正確な情報を混入させ、精度や信頼性を低下させる攻撃が行われます。

こうした脆弱性は、金融や医療など判断の正確性が求められる分野に大きな影響を及ぼす可能性があるため、モデルの堅牢性を高める研究が進められている現状です。

プロンプトインジェクション

LLM(大規模言語モデル)を利用するAIエージェントには「プロンプトインジェクション」と呼ばれる新しい攻撃手法が存在します。これは、通常の指示の中に悪意ある命令を紛れ込ませ、システムに意図しない動作をさせるものです。

例えば、メール文中やWebページに隠された命令を読み込ませることで、機密情報を外部に出力させたり、不正な動作を引き起こしたりするリスクがあります。

近年、OpenAIやMicrosoftもこの問題に対して注意を呼びかけており、実際に「ユーザーが入力したテキストをそのまま信頼して処理する」仕組みの危険性が報告されています。従来のセキュリティ対策では想定されていなかった攻撃手法であるため、認識と対策が不可欠です。

シャドーAIの横行

近年、企業におけるAI導入で懸念されているのが「シャドーAI」です。これは、従業員が許可なく外部のAIサービスを利用することです。

例えば、業務資料を生成AIに入力して要約させる行為は、一見便利でも機密情報が外部サーバーに渡り、漏えいにつながる恐れがあります。また、不正なサービスを通じてマルウェアに感染するリスクもあります。

これはかつて問題視された「シャドーIT」と同様で、管理者の把握しないシステム利用がセキュリティホールを生むという構造です。対策としては、利用規約や社内ポリシーを整備し、従業員が安全にAIを活用できるガイドラインを示すことが求められます。

運営元のセキュリティ攻撃・サービス障害

外部のAIサービスを利用する場合、提供元のセキュリティや運営体制に依存するリスクがあります。サービス自体が攻撃を受けたり、システム障害で停止した場合、利用企業は直接影響を受けることになるでしょう。

実際にクラウドサービスの障害で業務が一時停止した事例や、API提供が突然終了して利用が不可能になった例も報告されています。これらは導入企業の責任で防ぐことが難しいため、代替手段や冗長性の確保が不可欠です。

例えば複数のサービスを併用する、業務を完全に外部依存にしないといった対策が求められます。リスクを前提に備える姿勢が、安定したAI活用には欠かせません。

AIエージェントにおけるガバナンスの問題

AIエージェントは業務効率化に有効ですが、その判断過程が不透明であることからガバナンス上の課題も生じます。以下で詳しく解説します。

どのように情報処理しているのか分からない

AIエージェントの課題として大きいのが「ブラックボックス性」です。モデルがどのような根拠で判断を下したのかが不明瞭であり、誤った結論が出た場合に原因を特定するのが困難です。

例えば経理業務にAIを導入した場合、不適切な仕訳や誤計算が発生しても、その根拠を説明できず監査対応に支障が出る恐れがあります。また、内部統制やガバナンスを重視する企業にとっては、説明責任を果たせないこと自体が大きなリスクです。

国際的にもこの問題は注目されており、EUではAI規制案(EU AI Act)の中で透明性義務が議論されています。AIを全否定するのではなく「透明性をどのように担保するか」が今後の導入における重要課題といえるでしょう。

倫理観のある回答をするとは限らない

AIエージェントは、学習データに偏見が混じっていると、差別的な判断やステレオタイプを強めてしまう恐れがあります。公平性や透明性、説明責任が欠けると、倫理的な問題が露見し、社会的な信頼を損なってしまうでしょう。

業務にも影響が及びます。例えば採用における候補者の選別、与信審査のスコアリング、サポート対応の優先度などで、無意識のバイアスが組織全体に広がる可能性があります。対策としては、データ監査やアノテーション基準の整備、評価指標の多様化が有効です。さらに、人によるレビューや最終判断を必ず人間が行う体制を整えることも欠かせません。

AIは万能ではないため、倫理・公平性・説明責任を重視した設計と改善を前提に導入を進めることが重要です。

個人情報・機密情報を守らない可能性がある

AIエージェントは、個人データや機密情報、営業秘密などを取り扱うため、収集・利用・保存・共有・廃棄といったデータライフサイクルの全ての段階で管理が求められます。個人情報保護法では、目的外利用の禁止やデータ最小化、保存期間の制御などが重視されており、社内規程にも反映する必要があります。

金融や医療など、業界によってはさらに厳しい規制が設けられているため、自社に当てはまる要件を確認した上で体制を整えることが大切です。

従業員の知識不足による不正が起こることがある

AIエージェントの不正利用や誤作動は、従業員の知識不足や誤用から生じることがあります。仕組みや限界を理解しないまま利用すると、機密情報を入力してしまったり、誤った判断をそのまま受け入れてしまったりする可能性があります。

また悪意のある従業員がAIの設定を改変したり、データを外部に持ち出したりする危険性も否定できません。AIエージェントは自動処理の権限を持つため、不正が起きた場合の影響は大きくなります。

このようなリスクに対応するには、職務権限の決まりや監査ログの記録、従業員教育が基本となります。加えてダブルチェックや多要素認証(MFA)の必須化などを取り入れると実効性が高まります。従業員を責めるのではなく、仕組みと文化で誤りを防ぐことが再発防止につながるでしょう。

AIエージェントを導入する際に取るべき対策

AIエージェントを安全に導入するには、これから紹介する対策方法を押さえておくことが大切です。一つずつ見ていきましょう。

セキュリティ対策を徹底する

AIエージェントを安心して使うには、毎日の運用の中で基本的なセキュリティ対策を欠かさないことが大切です。まず、データを保存したり送信したりするときは必ず暗号化し、アクセスできる人を必要最低限に絞ります。

また重要な操作を行う際には、必ず本人確認を二重で行い(MFA)、操作の記録を残して監視します。AIに使うデータは、名前などが分からないように加工し、外部に流れ出ないように経路を管理しましょう。

また、AIに組み込む外部のソフトやライブラリが安全かを定期的に確認し、システム全体を分けて管理する仕組みを導入すると効果的です。自動チェックと人による確認を組み合わせることで、見落としを減らし、安心して活用できる環境を整えられます。

AIモデルは定期的に脆弱性診断をする

AIは導入して終わりではなく、使い続ける中で新しい弱点が見つかることがあります。そのため、定期的に「システムの健康診断」を行い、問題が見つかればすぐに修正することが重要です。

普段は自動検査で弱点を探し、大きな更新のときには専門家による詳細なテストを行うと安心です。またあえて誤認識しやすいデータを与えて、AIが間違えやすいパターンを把握しておくことも有効でしょう。

入力される情報が不正なものでないかを必ず確認し、AIが動く環境には必要な人以外が触れられないよう制御します。更新のたびに再チェックを行い、安全な状態を継続することが欠かせません。

AIにセキュリティ要件を組み込む

AIを開発する際は、後から対策を施すのではなく、最初から「セキュリティ要件」を組み込んでおくことが大切です。これを「セキュリティ・バイ・デザイン」と呼びます。

最初の計画段階で「どの情報を使うか」「どのように守るか」をはっきり決めておきましょう。開発の途中では、コードや外部サービスに問題がないかを自動でチェックし、危険があれば修正します。

さらに、データを集める段階から学習・運用・監視に至るまで、それぞれで安全性を確かめる仕組みを設けると効果的です。秘密の情報は専用の仕組みで厳重に管理し、誰がどのような変更を加えたかを記録に残しておけば、万一のときにも原因を追いやすくなります。

問題が起こった際の対応をまとめる

AIエージェントの運用では、問題が起こったときにすぐ対応できる仕組みを整えておくことが重要です。

まず、企業理念に基づいたAI倫理原則(公平性・透明性・説明責任・プライバシー)を文書化し、従業員へ周知します。さらに、経理や内部統制などの事例をケーススタディとして共有し、判断基準を明確にしておくと現場で役立つでしょう。

リスク対応は、リスクの洗い出しから影響度と発生可能性の評価を行い、回避・低減・移転・受容のいずれかを選択します。有事の際は、検知→封じ込め→根本原因分析→再発防止という流れでインシデント対応を進めます。

通報や記録、エスカレーションの経路を決め、広報・法務とも連携します。規制や技術の変化に応じて、対応計画やポリシーを定期的に見直すことが欠かせません。

従業員のAIリテラシーを高める

AIを安全に活用するためには、従業員一人ひとりの理解を深めることが欠かせません。まず、AI利用ポリシーを作り、どのような使い方が許されるか、何が禁止されるのか、データの扱い方、相談窓口などを明確にし、全社に周知します。

その上で、定期的に研修を行いましょう。シャドーAI(無許可のAI利用)のリスク、AIが抱えるバイアスや倫理の問題、基本的な仕組みを学ぶことで、正しい知識を身に付けられます。

さらに職務ごとに異なるトレーニングを設けると効果的です。例えば、疑似的なトラブル対応やフィッシングメールへの対処、プロンプト(指示文)の安全性確認を演習として体験させます。

運用面では、四眼原則(2人以上での確認)、承認フロー、MFA(二要素認証)の徹底が有効です。またFAQやヘルプ窓口を設け、気軽に相談できる環境を整えることも大切です。従業員を責めるのではなく、支援を通じて正しい行動を促すことを意識しましょう。

まとめ

AIエージェントには、情報漏えい、プロンプトインジェクション、シャドーAI、ガバナンスの不透明さなど、さまざまなリスクがあります。

これらを安全に管理するためには、セキュリティやプライバシーの確保、組織や手続きの整備、従業員教育、そしてBCP(事業継続計画)の準備といった幅広い対策が必要です。これらを組み合わせて進めることで、安心して業務に活用できる環境を整えられます。

自社にある資料やマニュアルを活用しながらリスクを抑えたい場合には「amie AIチャットボット」のような仕組みの生成AIツールが有効です。amie AIチャットボットは、お客様の機密情報を守りながら、既存のドキュメントから必要な情報を引き出すことで、安全かつ効率的な業務を支援します。
導入を検討する際は、まず小規模に始めて効果を確かめ、必要に応じて拡張すると安心です。amie AIチャットボットが気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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