チャットボットは役に立たないといわれる理由とは? 失敗例と対策について解説
2024.9.26
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OCR技術にAIを組み合わせたシステムの登場で、業務の自動化と効率化が期待されています。AI OCRは従来のOCRよりも高い精度を持っており、手書き文字や非定型フォーマットの認識も可能です。AI OCRを導入することで、紙の文書のデジタル化をよりスムーズに行えます。
本記事では、AI OCRの基本概念や仕組み、従来のOCRとの違い、AI OCRの活用方法や課題などを解説します。
目次
OCR(Optical Character Recognition)とは、手書きや紙に印刷された文章をスキャナやカメラで読み取って、コンピューターによりデジタルのテキストデータに変換する光学文字認識機能です。アルファベットのようにシンプルな文字だけでなく、複雑な漢字の認識にも対応できます。データ入力作業の手間軽減や人為的ミスの削減につながるため、ビジネスシーンで利用される機会が増えています。
OCRについて理解するために、以下の3点を確認しておきましょう。
OCRは、紙に書かれた文字をコンピューターが読み取れるテキストデータに変換する技術です。日本語では、光学文字認識機能と呼ばれています。
身近な例の一つは、レシートをスキャンする機能が搭載された家計簿アプリです。この機能にはOCRが活用されており、スキャンしたレシートから読み取った金額や商品名をスマートフォンやパソコンで検索・編集できます。通常、画像に文字が書かれていても、あくまでも画像の一部として認識されるため、テキストデータのようには扱えません。
しかし、OCR技術を活用することで画像をテキストとして保存できます。そのため、従来のように紙の文書をデジタル化するために手動で入力する必要がなくなります。日本企業ではまだ手書きの書類が多いですが、OCRを使ってデジタル化すれば、業務効率の改善につながるでしょう。
OCRでは以下の手順に従って、画像データからテキストデータに変換しています。
OCRについて理解するために、基本的な仕組みを押さえておきましょう。
OCRでは紙に印刷された文字を読み取る際に、まず画像データへの変換が必要です。画像データ化はスキャナやカメラなどによる紙の文書のスキャンや、ハンディターミナルによる商品パッケージの読み取りで行われます。
書類をスキャンして画像データ化する際、紙に汚れがあるとOCRが正確に認識できません。また書類に染みや折れ目があると、誤字脱字の原因となります。データ変換の精度を高めるために、書類が汚れている場合は取り除いておきましょう。
OCRでは単純な文字列の並びだけでなく、新聞や雑誌のように複雑なレイアウトの文書にも対応できます。新聞や雑誌には図表や画像も含まれていますが、文字の部分のみを抽出することが可能です。この作業をレイアウト解析と呼び、画像内の配置を解析してどの部分を読み取るのかを判断します。
ただし、OCRは請求書のように企業によってレイアウトが変わる書類の解析が苦手です。そのため、正確に文字を読み取るためには、書類の種類に合わせて設定を行う必要があります。
レイアウト解析で画像内の文字を認識した後は、それらの文字が何行に分けられるのかを解析します。画像内の文字を1行ずつ切り出すことで、1行単位での処理が可能です。文章を行ごとの文字列に分解する目的は、より正確に文字を認識するためです。
また従来のOCRでは文字を一つずつ認識しますが、後述するAI OCRでは文字列というグループ単位で認識し、より大きな視点から文章の構造を把握しています。
OCRが文字を認識する際は、文字の特徴を一つずつ細かく分析していきます。そのため文字列から文字を抽出する、文字の切り出しが必要です。文字の切り出しは、画像の上から下に線を異動させて線が文字と交わる点を数えることで分割しています。文字の切り出しが完了すると、文字を一つずつ正確に認識する段階に移行します。
しかし文字の色や濃淡が異なる、手書きであるなどの場合は認識精度が下がるかもしれません。OCRの精度は高まっていますが、読み取ったデータは必ずしも正確だとは限らないため、最終的に人の目で確認する必要があります。
OCRで文字の認識が完了した後は、コンピューターで編集できるようにするためにデジタルの文字コードに変換します。変換された文字データをExcelやWord、PDFなどの形式で出力すれば、他のソフトウェアを使用した編集や保存が可能です。
ほとんどのOCRでは、以下のファイル形式に対応しています。
OCRにはさまざまなファイル形式に変換する機能もあり、紙の文書をデジタル化することで業務効率化に貢献してくれる技術です。
日本でもDX化は推進されていますが、多くの企業ではまだ手書きの書類や印刷した資料を使っています。しかし、膨大な数の書類を管理するには手間とコストがかかります。業務効率を向上するためには、書類をいかにデジタル化するのかが課題です。
OCRはスキャンした画像から文字を抽出し、テキストデータに変換できるため、書類のデジタル化に関する問題を解消してくれます。手作業でデータを入力する必要がなくなり、業務効率化の実現も可能です。ただし、OCRは読み取り精度が向上しているものの、完全な技術ではありません。文字を正しく認識できず、誤った文字として出力してしまう場合があるためです。特に手書きの文字は書いた人によって形が異なるため、認識することが困難です。またアルファベットの「O」や数字の「0」など、形が似ている文字も誤って認識する可能性があります。
OCRの役割は作業を自動化して業務効率を向上させることですが、データの正確性を保つには人の介入が不可欠です。しかし、近年は従来のOCRの限界を超えるためにAIを搭載したAI OCRが登場し、ビジネスシーンでの活用が広がっています。
AI OCRは従来のOCRにAI技術を取り入れることで、文字認識の精度を向上させた技術です。日本ではAI OCRとして知られていますが、海外ではICR(Intelligent Character Recognition)と呼ばれる場合もあります。
従来のOCRでは文字の検出と認識の2段階で対応していましたが、AI OCRでは文字に関する大量のデータを読み込む深層学習によってOCRよりもさらに高度な処理を行います。このおかげで、従来のOCRでは難しかった複雑な文字や似た形状の文字も高い精度で判別し認識できるようになりました。なお、深層学習とは人の脳の働きを模倣した機械学習の一種で、大量のデータから複雑なパターンを学習する技術です。文字認識に学習機能を活用することで、まるで人が文字を見て判断しているかのように認識できます。
例えば、形状が似ているカタカナの「ニ」と漢数字の「二」やカタカナの「ロ」と漢字の「口」でも、学習を重ねることで明確に区別して認識できるようになります。もちろん認識精度は100%ではありませんが、OCRよりも高い精度による業務効率化が図れるでしょう。
AI OCRをよく理解するために、仕組みや特徴を見てみましょう。
AI OCRでも文字を認識する際に検出と認識を行っていますが、さらに以下3つの工程が加わっています。ここでは、AI OCRの基本的な動作原理を解説します。
1. 画像の前処理
文字認識の精度を高めるためは、事前に画像の処理が必要です。具体的には以下のような処理が行われています。
画像の前処理は、AI OCRが正確なデータを生成するために重要なステップです。この作業によって文字の認識がスムーズに行われます。
2. 特徴抽出
特徴抽出は画像から文字を認識する際に、文字領域から特徴を抽出するステップです。特徴抽出では深層学習が活用されており、畳み込みニューラルネットワークというアルゴリズムが、画像に含まれる文字の形状や線の太さ、曲がり具合などを分析します。
画像の文字を認識する際には、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)や長短期記憶(LSTM)などのモデルを活用しています。これらのモデルにより、文脈や単語のつながりも考慮した上で正確に変換することが可能です。
また深層学習では、人によって形状が異なる手書きの癖も学習できます。従来のOCRでは手書きの「あ」を「ぬ」や「お」と誤認する場合がありました。しかし、AI OCRでは手書きの似た文字でも認識が可能となっています。
AI OCRは、文章全体の文脈を理解した上で高度な処理ができる技術です。文章全体の意味や文脈を理解できることで、より複雑な文書でも正確に情報を抽出できます。
例えば、文字の形状が似ている場合や画像上の不明瞭な部分があっても、文脈から判断して正確な文字認識が可能です。以前は困難であった異なるフォントやサイズの文字が混在する文書も、文脈に基づいて認識できます。
また非定型データへの対応力が向上しているのも特徴の一つです。従来のOCRは人によって指示された特定のレイアウトにしか対応できないのが課題でした。しかし、AI OCRは深層学習により、複雑なレイアウトの文書も認識が可能です。そのため、手書きの申請書や形式が統一されていない帳票など、多様な種類の文書を処理できます。
このように、文書への対応力が向上したことで、これまでよりもスムーズに書類のデジタル化ができるようになりました。
AI OCRは従来のOCRにAI技術を組み合わせたもので、深層学習によって文字認識の精度が大幅に向上しています。また大量のデータ学習により、従来のOCRでは困難であった読み取りにも対応できるようになりました。
ここでは、前述してきたAI OCRとOCRの違いをあらためて解説します。自社への導入を検討している担当者は、それぞれを比較し違いをしっかり把握しておきましょう。
AI OCRは従来のOCRと比べて文字の認識精度が大幅に向上した技術です。従来のOCRは、人によって指定された設定に従ってしか文字を認識できませんでした。そのため、手書き文字や新しいフォントへの対応は困難です。
しかし、AI OCRでは大量の手書きデータを学習することで、個人の癖を理解して正確に文字を認識できるようになりました。読み取った文字をデータとして蓄積し、そのデータから自動で学習するため、多様な文字の種類や多言語に対応できます。
例えば、漢字・ひらがな・カタカナの3種類が混ざった複雑な手書き文字でも、ほぼ間違えず正確に読み取ることが可能になりました。AI OCRは人が学習するように自動で経験を積むため、新しい文書を読み込ませるほど精度を向上させられます。多様な種類の文字を迅速にテキスト化でき、業務効率化に大きく貢献してくれる技術といえるでしょう。
AI OCRは従来のOCRと比べて、多様な形式の文書に対応できるのも特徴の一つです。発行する企業によってフォーマットが異なる領収書や申込書など、非定型の文書でも正確に文字を認識できます。
例えば、請求書の場合は企業ごとに異なるレイアウトや項目であっても、必要な情報を正確に抽出できます。AIが自動的にレイアウトや項目を特定するため、従来のOCRのように人の手で設定する必要もありません。
このように、AI OCRが非定型文書に対応できるのは、深層学習によって任意の箇所からテキストを抽出できるからです。またスキャンしたデータの特徴を分析して、どのような種類の帳票かを自動で判別できるシステムもあります。AI OCRは手書き文字や非定型フォーマットへの適応性の高さから、多様なビジネスシーンで活用がされている技術です。自社に導入することで、手動による入力作業の手間を軽減し、生産性の高い業務により多くの時間を割くこともできるでしょう。
AI OCRはさまざまな職種や業界で活用されています。例えば、経理部門への導入によりミスの防止や業務効率化が図られています。また医療分野では医師や看護師の負担が軽減され、物流業界では業務効率を上げることで、深刻な人手不足の解消につながっています。
AI OCRの活用方法を確認して、自社に導入した際のイメージをしてみましょう。
AI OCRを経理部門に導入し業務の一部を自動化することで、人為的なミスを減らし業務効率化を実現できます。
従来の経理部門では領収書や請求書から情報を読み取り、手作業で帳票に入力し直していました。規模が小さな企業であれば手作業でも対応できるかもしれませんが、企業規模が大きくなるほど膨大な帳票への対応に手間や時間がかかってしまいます。
またDX化の推進により、紙の書類のデジタル化も同時に進めなければなりません。その点、経理部門にAI OCRを導入すれば業務効率に関する悩みを軽減できるでしょう。これまで人が行っていた読み取り作業は、従業員がコンピューターにデータをアップロードするだけで自動的に読み取られます。読み取ったデータから仕分けを作成すれば、そのまま会計ソフトに登録できます。
手間と時間がかかる帳票への対応を自動化することで、経理担当者は他の業務に集中できるでしょう。
医療分野にAI OCRを導入することで期待されているのは、医療データの管理や処理の効率化です。医療分野では、実際に以下のようなシーンでAI OCRが活用されています。
AI OCRの活用により上記のような効果が得られます。医師や看護師の負担が軽減され、医療の質向上に貢献することが可能です。
物流業界へのAI OCRの導入では、人手不足の問題解決が期待されています。物流業界ではドライバー不足が深刻化していますが、事務処理業務でも労働力が不足しています。現在、多くの運送会社から送られてくる発注書を手作業で処理しているケースが少なくありません。特にFAXで送信される発注書はフリーフォーマットが多く、一つずつ確認して入力しなければなりません。
また入力作業の煩雑さに加えて、受発注管理が各担当者に属人化していることも問題となっています。しかしAI OCRを導入すれば、発注書のデータ入力業務にかかる負担を軽減できます。人が行っていた業務をAI OCRが代替できれば、人手不足の解消にもつながるでしょう。
加えて、AI OCRは認識精度が高いため、手作業による人為的な入力ミスの防止も期待できます。
前述した通り、AI OCRにはさまざまなメリットがあります。しかし、簡単に導入できるわけではない点に注意が必要です。運用体制を整備した上でデータのセキュリティ管理やノイズ対策などを実施しなければなりません。
自社への導入を検討している担当者は、AI OCR導入時の課題を把握しておきましょう。
AI OCRを導入すると業務効率化に貢献しますが、一方でデジタル化に伴いセキュリティリスクが発生します。個人情報や機密情報などデリケートなデータを扱うため、導入する際はセキュリティ対策が必須です。考えられるセキュリティリスクには、データ漏えいやデータ改ざんなどがあります。インターネットを経由したデータ送信や不正アクセスによって、データの漏えいが発生する可能性に留意しましょう。
またAIモデル自体が攻撃の対象となり、データが改ざんされる可能性もあります。そのため、AI OCRシステムを導入する際は、セキュリティ性の高いものを選びましょう。AI OCRにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があり、多くの場合でクラウド型が採用されています。クラウド型の利点に導入ハードルの低さがありますが、セキュリティ面ではオンプレミス型に劣る点が問題です。
セキュリティ面が気になる場合はオンプレミス型が選択肢となりますが、導入や管理の手間がかかるデメリットもあります。
従来のOCRと比べてAI OCRは文字認識の精度が大幅に向上していますが、それでも認識精度は100%ではありません。
また読み取る画像に不明瞭な部分があると、AI OCRでも正確には認識できない点にも考慮が必要です。黒塗りが施されている機密情報を読み取らせる場合、文脈を把握できず認識精度が低下する可能性があります。そのため、AI OCRを使って文書をデジタル化する際は、人の目による確認が必要です。AI OCRに頼り切りになると、誤りが発見されないまま正当なデータとして保存される可能性があります。AI OCRは人の作業と併用してこそ、より正確な業務遂行が可能です。
AI OCRの導入には、高額な費用と手間がかかるのが現状です。AI OCRには高度な機械学習が必要であり、専門技術を持つ人材や高性能なコンピューターが必要になります。既存のシステムと連携するには、システムの改修や統合によって追加コストが発生するかもしれません。
導入時の具体的な発生コストは以下の通りです。
またAI OCRを導入するには、運用体制の整備も必要になります。専門技術を持つ人材を配置するには、新たに採用するか既存の社員を教育しなければなりません。他にも、導入後に社員がシステムをスムーズに利用できるよう、丁寧な研修の実施が求められます。AI OCRを導入する際はコスト面だけでなく、技術面や人材育成も考慮しておきましょう。
AI OCRは従来のOCRと比べて、文字認識の精度が大幅に向上した技術です。以前は活用分野が限定されていましたが、AIを搭載したことで非定型フォーマットへの対応も可能になりました。既にさまざまな職種・業界で活用されており、AI OCRを導入することで業務効率の改善や人為的ミスの防止が期待できます。また業務の一部を自動化できるため、人手不足の解消も可能です。ただしAI OCRの認識精度は100%ではないため、人による作業と併用し業務の精度を高める必要があります。
amie AIチャットボットは、業務効率化を目的としたAIの導入を検討している企業様へおすすめの生成AIを活用したチャットボットツールです。
amieは、社内の既存ドキュメントを学習データとして参照するため、初期設定を簡略化することができ、最短約3分で学習を完了させることが可能。また、学習したページの内容を分析し、適切なタグの自動生成をしたり、回答候補を画像でサムネイル表示したりと、ユーザーが直感的に回答を見つけやすいという特徴があります。
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