チャットボットのAPI連携で起こる効果とは? メリットや注意点を解説!
2024.9.26
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生成AIに導入されているLLMは、自然言語でのテキスト生成が可能ですが、学習データに依存してしまう点や誤情報を提供する恐れがある点がリスクとして伴います。そのようなLLMのリスクをカバーし、相乗効果で回答の質を上げられるのがRAGです。
本記事では、RAGとLLMの違いや関係性、それぞれのメリットとデメリットなどを解説します。
RAGとLLMはどちらもAI技術の一種ですが、仕組みや使い方に違いがあります。
まずはRAGとLLMの概要や違いを見ていきましょう。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、外部のデータソースから必要な情報をリサーチし、正確で質の高い回答を生成する技術のことです。
検索拡張生成とも呼ばれており、検索機能と生成AIのデメリットやリスクをカバーする技術として、情報の分析や調査、文書作成、自動応答システムなどに導入されています。
検索機能におけるAIは「検索キーワードと合致している内容」を並べるだけで、具体的に何が正しい情報かを判断できません。必要な情報を効率良く見つけてくれる利点を持っていますが、その情報の中から本当に必要な情報を探し出すのは大変です。
また生成AIは過去に学習したデータのみで回答を作るため、一般公開されていない情報は扱えません。例えば、社内規定やマニュアルなどのインターネットに載っていない内容は、質問をしても間違った情報を回答として提供する可能性があります。
RAGは、このような検索機能と生成AIの弱点を補えるシステムです。RAGを他のシステムと連携させれば、検索結果の中から本当に必要な情報だけを探してくれるため、分かりやすい回答の生成が可能です。
RAGについて詳しくはこちらの記事をご参照ください
https://amie-ai.com/contents/rag-chatbot/
LLM(Large Language Models)とは、人間が話す自然な言語のテキストデータを元にテキスト生成を行うモデルのことです。
大規模言語モデルと呼ばれており、従来のモデルよりもデータ量・計算量・パラメータ数という3つの要素のレベルがパワーアップしています。計算量はLLMを動かすのに必要な計算処理の量、データ量は学習するテキストデータの量、パラメータ数はモデルの知識を形成する数値の数のことです。
3つの要素が強化されたことで自然言語の処理能力が格段に上がったため、以前よりも文脈やニュアンスを深く理解できるようになりました。LLMの代表的な例がChatGPTやBERTで、これらのAIはユーザーの質問に対して自然な会話のような流れで回答してくれます。また、入力された文章の次に来るフレーズを予測できるのもLLMの利点です。
しかし最新情報が出るたびに学習させなければならない点や、誤情報を含んだ回答を生成する恐れがある点がデメリットおよびリスクと言えるでしょう。
RAGとLLMは、情報の取得方法やテキストを生成するまでのプロセスにおける立ち位置が異なります。
RAGは、既存のデータベースや外部の情報源を元に回答を生成する技術です。回答を生成するには、まず事前に準備した情報を数値化してデータベースに保存し、システムに埋め込みます。ユーザーから質問を受けた際は、その中から必要な情報だけを探し出して回答を生成する流れです。RAGは、社内規定などのインターネットに公開されていない情報も埋め込めるため、クローズドな情報を求めているユーザーにも回答できます。
一方、LLMは事前に学習した大量のテキストデータを元に回答を生成する技術です。RAGのように外部のデータベースを元にしたテキスト生成はできません。そのためクローズドな情報を求めても、正確な回答が得られないケースもあります。
情報の取得方法は異なりますが、RAGとLLMは密接な関係にあります。
LLMは、一般的に公開されていないデータや情報を扱えなかったり、誤情報をユーザーに提供してしまったりする点に注意が必要です。しかし、自然言語で会話できるメリットがあります。RAGは、こうしたLLMの課題やリスクをカバーしつつ、自然な会話で問題解決できるというLLMのメリットを生かすことが可能です。
RAGが扱うデータベースに正確な情報を埋め込めば、ユーザーに信頼性の高い回答を生成できます。RAGは最新の情報や特定のデータソースから情報を提供する能力を持っているため、LLMとの組み合わせによってより正確で鮮度の高い情報を自然な言葉で提供できます。
RAGで実現できることやメリット、デメリットを解説します。
RAGで実現できることは、以下の通りです。
RAGは、事前に用意した正しい情報を元にLLMにテキストを生成させるため、LLMで問題となるハルシネーション(幻覚)のリスク軽減が期待できます。
ハルシネーションとは、生成AIが幻覚を見ているかのように間違った情報を出力してしまう現象のことです。例えば、生成AIに「日本の首都はどこ?」と質問したら「日本の首都は大阪です」のように間違った回答をする場合があります。特に医療や金融などの正確性が重要な分野でハルシネーションが起こると、ユーザーの健康状態や経営状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ハルシネーションが起こるのは、学習データに間違った情報が紛れ込んでいたり、生成AIが文脈を理解できずに不適切な回答を生成してしまったりするためです。RAGで正確な情報をデータベースに追加することで、ハルシネーションが解消できます。
RAGを活用すれば、精度の高いデータ分析や集計が可能です。
例えば、社内の売上データや顧客情報を基にトレンドを分析したり、ユーザーのアンケートから顧客のニーズや行動パターンを分析したりできます。分析の精度が高まれば、市場でのシェアを拡大するためのビジネス戦略を立てやすくなるでしょう。
またRAGは大量のデータを効率良く分析できるため、人間では気付きにくいデータ同士の関連性を見つけられる点もメリットです。
さらに、社内データだけでなくインターネットに公開されている新着ニュースや交流サイト(SNS)の投稿、論文などからも情報収集ができます。
RAGを活用すれば、社員や顧客からの問い合わせに自動で対応できるシステムの構築が可能です。
業務マニュアルや社内規定などをデータベース化し、社内向けのチャットボットに埋め込めば、社員からの質問に正確かつ迅速に回答できます。例えば「交通費の申請方法を教えて」と質問すると、RAGが社内規定やカレンダーを確認し、必要な情報をピックアップして回答を生成するイメージです。
同じように、顧客向けのチャットボットにRAGを導入することで、顧客の疑問をすぐに解消し問い合わせ対応を効率化できます。さらに、チャットボットを24時間365日対応可能にすれば、顧客はいつでも疑問を解決できるようになり、カスタマーサポート業務の負担が軽減できるでしょう。
RAGを活用すると、記事や商品カタログ、営業資料、メール文章などのコンテンツ作成ができます。
RAGを使わずにコンテンツを作る場合、手作業で過去のデータを調べながら作成しなければなりません。他の生成AIでもコンテンツ作成は可能ですが、自社のデータやテキストの文脈、雰囲気、体裁に合ったコンテンツを作るには、学習データをAIに教える必要があります。
RAGを活用すれば、見本にしてほしい資料をデータベースに埋め込むだけで、ユーザー目線のコンテンツを自動で生成してくれます。
RAGのメリットとデメリットを見ていきましょう。
RAGを導入するメリットは、以下の3つです。
RAGとLLMを組み合わせることで、ユーザーの質問の文脈やニュアンス、背景にあるニーズなどを汲み取った回答の生成が可能です。これによりユーザーは自然な言語で正確な回答が得られるため、効率良く問題解決でき、システムや企業への満足度向上にもつながります。
またRAGはAIが出した誤情報を訂正できる機能も備わっているため、提供するデータの信頼性を上げられます。LLMのみの実装だと、答えられない質問が入力されたときに「分からない」と答えず、学習データから無理やり回答を生成してしまうかもしれません。RAGを使えば、LLMが答えられない質問をされた際に「分からない」と判断して、回答を一時的に止めるようトレーニングできます。
RAGは、学習データからの情報だけではなく、インターネット上に掲載されているデータソースや、社内独自の資料などの外部データからも情報を拾えます。最新情報や正確なデータの追加もできるため、回答の精度や正確性の向上が可能です。
RAGのデメリットは、以下の通りです。
RAGは、検索機能と生成機能の2つを用意しなければならないため、実装までに時間がかかります。専門的な知識を要する場合もあり、システムが整うまでは社員の負担が大きくなる可能性があります。
また質問ごとに異なる学習データを用意しなければならないのもデメリットです。LLMは一度に渡せる情報量に制限があるため、RAGを導入する際は質問の内容に合わせて、必要な情報だけを決まった量に収めて提供する必要があります。
さらにRAGは、LLMでテキストを作成する前に情報検索のプロセスを通すため、回答速度が遅い傾向にあります。求めている情報が迅速に得られないと、ユーザーの満足度にも影響を与える可能性があるため注意が必要です。
またRAGは学習データをそのまま情報としてLLMに送るため、データ自体に間違いや偏りがある場合はユーザーに正確かつ合理的な回答を提供できません。
LLMで実現できることやメリット、デメリットを解説します。
LLMで実現できることは、以下の通りです。
LLMは、人が普段話している自然な言語でのテキスト作成が可能です。
社内ホームページやSNSの文章なども、指定されたテーマやキーワードに基づいて情報を集め、自然な言葉で分かりやすく文章を作成します。またチャットボットなどに導入することで、営業時間外の問い合わせも受け付けられるようになります。
生成したテキストをリライトしたいときでも、LLMなら文章のねじれや文脈の不一致なども改善できるため、社内コンテンツの見直しにかかる時間を削減できるのも利点です。
LLMは、膨大なデータから情報を抽出したいときにも役立ちます。
コンテンツを作成したり、研究のためのエビデンスを探したりしたいときは、インターネットなどのデータから必要な情報を手作業でピックアップしなければなりません。
しかしLLMを活用すれば、特定のテーマやキーワードに基づいた情報を自動的に検索し、テキストに反映してくれます。
LLMはテキスト生成だけでなく、文章の要約や翻訳まで対応可能です。
海外での事業展開や海外企業とのやり取りの際に、LLMに現地の言語で書かれた文章を提示すると素早く翻訳してくれます。
また長文の議事録や論文を分かりやすくまとめたいときも、LLMに希望のまとめ方を指示するだけで効率的に要約できる点もメリットです。文章の要約や翻訳ができると、企業間のやり取りがスムーズになります。
LLMは、マーケティング戦略の分析やプログラミングのコーディングのエラー検出ツールとしても導入できます。
マーケティング戦略を立てる際は、市場調査やターゲットの選定など分析する項目の量が多いです。例えば市場調査なら、SNSでのユーザーの反応や商品レビューなどをLLMが抽出できるため、より効果的な戦略を立てやすくなります。
またプログラミングのコード生成はもちろん、コードのエラーを自動的に検出し、どのように修正すればエラーが直るのかまで指示してくれる利点もあります。
LLMにはメリットとデメリットが存在します。以下で順番に見ていきましょう。
LLMのメリットは、以下の通りです。
まずは、精度の高い自然言語処理ができる点がメリットです。LLMは大量のデータを元に言語のパターンや構造を学習しているため、人間が話す自然な言語でのテキスト生成ができます。
さらにLLMは、ゼロショット学習で回答の精度を高められるメリットもあります。ゼロショット学習とは、事前に特定のタスクに関連するデータを学習していなくても、適切な回答を導き出せる学習方法です。ゼロショット学習が可能なLLMを導入することで、学習にかける時間と手間を削減できます。
またLLMは文脈理解に優れています。単語やフレーズの意味だけでなく、文章全体の流れや背景を踏まえた上で、自然で的確なテキストの自動生成が可能です。
LLMには、以下のようなデメリットも存在します。
LLMに学習させたデータに誤情報があった場合、それを回答としてそのままユーザーに提供してしまいます。科学的根拠がない情報も事実かのように生成するリスクを伴うため、重要な事柄は人の手で間違っていないか確認するのが重要です。
また質の良いテキストを生成するには大量のテキストデータが必要ですが、データの構築には時間とコストがかかります。学習データに間違いがないか確認する作業も必要なため、十分なリソースを確保しなければなりません。
LLMを導入する際は、セキュリティー面のリスクも考慮する必要があります。LLMの開発途中に、悪意のある第三者によってサイバー攻撃を受けると、プロンプトに入力した個人情報や社外秘の情報などが漏えいする可能性があります。必要に応じてセキュリティー対策を強化することが重要です。
RAGやLLMは、大量のデータから自動的に回答を生成する面では便利な技術です。しかし誤った情報の生成や最新情報の反映不足、情報の正確性の欠如などといったデメリットも伴います。
AIを使ったチャットボットにRAGやLLMを導入すれば、学習データの中から回答を自動で生成できますが、日本語の言い回しが希望通りにならなかったり、無理にひねり出した回答を提供してしまったりする可能性もあります。
こうした課題を解決するには、特定のドキュメントや既存の情報資産を活用し、正確で信頼性の高い回答を提供するツールの導入が必要です。
当社が開発したamie AIチャットボットは、既存の社内ドキュメントやWebサイトの情報をそのまま回答として提供できるため、RAGやLLMにおける情報の正確性の欠如をカバーできます。さらにamieには辞書登録機能が備わっており、社内独自のプロジェクト名やサービス名などの用語もあらかじめ登録可能です。
amieは、ユーザーの悩みに寄り添って、誰もが「正確な回答」を見つけられるようにするチャットボットです。チャットボットを通して企業の信頼度が高まり、顧客満足度の向上や問い合わせ数の増加も期待できます。回答精度の高いチャットボットをお探しの方は、ぜひamieの導入をご検討ください。
LLMは、文脈や意図を理解してテキストを自動生成したり、文章の次に並ぶ単語や文章を予測したりできる優れたモデルです。しかし、過去の学習データに依存するため、データの量が少なければ知識量も少なくなるデメリットがあります。
RAGをLLMと合わせて活用すれば、学習データ以外の外部データソースからの情報抽出や回答のコントロールができます。また、チャットボットや文書生成などに導入することで、問い合わせ業務やコンテンツ作成の効率化が可能です。しかし、100%正しい情報を提供するのは難しい上に、開発までに時間とコストを要します。
当社のamie AIチャットボットは情報の正確性にこだわっており、学習データからそのまま回答を生成し、ユーザーに提供するサービスです。学習データをサムネイル化でき、チャットボット開発に必要なシナリオやFAQ作成が不要のため、最短約3分で導入できます。
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