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RPAは衰退している? 市場の変化と課題について解説

RPAは衰退している? 市場の変化と課題について解説

日本の生産労働人口が減少局面にあるといわれる中で、人手不足の解決策として期待されているのが、RPA(Robotic Process Automation)による業務自動化です。

しかし、近年は生成AIなどの競合技術の台頭により、RPA市場にはかつてほどの勢いがないといわれます。この記事では、RPAが衰退しているとされる理由や、RPAの新たな可能性、導入時に注意したい課題について解説します。

RPAとは? 定型的な業務プロセスを自動化するツール

RPAとは? 定型的な業務プロセスを自動化するツール

RPA(Robotic Process Automation)とは、「これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットにより自動化する」ツールの総称です(※)。

※出典:総務省.「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」.
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html ,(参照2024-11-26).

RPAには、パソコン画面上の操作を認識する技術と、設定したワークフローを自動で実行する技術の2つが用いられています。事前に作業手順を記録しておくことで、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)などのアプリケーションを繰り返し実行することが可能です。

RPAの導入によって自動化できる作業

RPAを導入することで、以下のような作業を自動化できます(※)。

  • ソフトウェアの自動起動・終了制御
  • タスクスケジューリングと自動実行管理
  • コンピューターの入力デバイスを使用した操作の自動化
  • 異なるソフトウェア間でのデータ転送と連携
  • 企業内システムとビジネスソフトウェア間の情報連携
  • 収集データの整理・分析作業の効率化
  • モニター上の視覚情報(テキスト、グラフィック、カラー)の認識
  • AI技術を活用したエラーハンドリングと自動対応機能
  • 業界や職務内容に応じたシステムのカスタマイズ対応
  • ノーコードでの業務フロー設定機能

こうしたRPAの機能を生かすことで、伝票入力や帳票作成、経費精算、問い合わせ対応、顧客情報の管理、SFA(営業支援システム)へのデータ入力など、さまざまな定型業務を自動化できます。

※参考:総務省.「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」.
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html ,(参照2024-11-26).

RPAの導入事例や期待できる効果

RPAは業種を問わず、多くの企業・団体に導入されてきました。中でも早くに取り入れたのが金融業界です。保険会社や金融機関では、煩雑で定型的な事務作業が多く、RPAによる自動化の余地が大きいことから、高い導入効果を発揮しました。

例えば、大手都市銀行の導入事例では、20種類にも及ぶ煩雑な事務作業をRPAで自動化した結果、年間で8,000時間の業務時間削減に成功しています(※1)。事務部門の従業員をより重要な業務に割り当てるなど、人員配置の見直しにもつながりました。

RPAには、従来の業務効率化ツールと比べ、低コストかつ短期間で導入できるという特徴があります。またRPAの開発に当たって、高度なプログラミングスキルは必要ありません。

そのため、中小企業からの認知度も低くなく、2018年版中小企業白書によると、59.3%の企業がRPAというキーワードを認知しています(※2)。

※1参考:総務省.「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」.
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html ,(参照2024-11-26).

※2参考:中小企業庁.「2018年版 中小企業白書」.
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/index.html ,(参照2024-11-26).

RPAは衰退している? 市場規模や現状を解説

RPAは衰退している? 市場規模や現状を解説

RPAはさまざまな企業・団体で導入されている一方で、近年では「RPAは衰退している」という意見も見られるようになりました。RPA関連市場の成長率が鈍化していることに加えて、導入率も米国に比べ日本では伸び悩んでいるからです。

ここでは、RPAの市場規模や現状について紹介します。

ICT市場は拡大傾向にあるが、RPAは重要な成長分野ではない

世界のICT市場(支出額)は、スマートフォンやクラウドサービスの普及を背景として、2016年以降拡大を続けています。情報通信総合研究所による「国内外のICT市場の動向等に関する調査研究の請負報告書」によると、2023年の市場規模は657.3兆円に達し、前年比10.3%の増加でした(※1)。

日本国内のICT市場も、2023年は28.5兆円(前年比4.7%増)、2024年は29.9兆円(同4.9%増)と、堅調な成長が見込まれています(※1)。

国内でのIT支出が増加している背景には、円安やインフレといった景気動向に加えて、以下のような中長期的トレンドが関係しています(※2)。

  • AI分野が急成長しており、特に生成AIへの国内投資や外国企業の参入が活発化している
  • サイバーセキュリティーへの危機意識の高まりにより、国内市場が年率8~9%の割合で成長することが予測される
  • 仮想空間(メタバース)の事業環境の整備が進んでおり、市場規模が2028年度までに3兆円を超えることが予測される
  • ブロックチェーン技術を用いたWeb3.0の台頭により、暗号資産や非代替性トークン(NFT)を用いた新サービスの創業が期待される

RPAをはじめとした自動化・省力化のための投資も、金融機関や地⽅⾃治体を中心として、今もなお行われています。しかし、成長著しいAIやサイバーセキュリティーなどの分野と比べると、かつてのRPAブームは過ぎ去ったという意見もあります。

※1参考:株式会社情報通信総合研究所.「国内外のICT市場の動向等に関する調査研究の請負報告書」p4-5.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r06_02_houkoku.pdf ,(参照2024-11-26).

※2参考:日本貿易振興機構.「魅力的な注目市場分野」.
https://www.jetro.go.jp/invest/attractive_sectors/ict/attractive_markets.html ,(参照2024-11-26).

コロナ禍以降も、日本ではRPAの導入企業が大きく増えていない

情報処理推進機構の『DX白書2023』によると、米国では新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経て、27.2%の企業がRPAによる定型業務の自動化に取り組みました。一方、日本では10.8%にとどまっており、コロナ禍以降もRPAの導入企業は大きく増えていません(※1)。2021年との比較表は以下の通りです(※2)。

コロナ禍への対応としてRPAを導入 導入検討中 検討していない/導入予定はない
2021年 2023年 2021年 2023年 2021年 2023年
日本 7.5% 10.8% 20.1% 24.7% 28.3% 25.8%
米国 23.6% 27.2% 18.4% 18.4% 12.2% 11.7%

特に中小企業では、RPAに関する専門知識の欠如や、IT関連の人材不足などが理由で、RPAの活用率が伸び悩んでいます。「2018年版中小企業白書」によると、RPAをはじめとするITの導入を進めようとする際の課題について、「導入の効果が分からない、評価できない」「従業員がITを使いこなせない」といった回答が2~3割を占めています(※3)。

こうした導入率の伸び悩みや、中小企業における活用率の低さからも、RPAは衰退しているという意見が見られるようになりました。

※1参考:独立行政法人情報処理推進機構.「DX白書2023 進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」」p137.
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108041.pdf,(参照2024-11-26).

※参考2:独立行政法人情報処理推進機構.「DX白書2021 日米比較調査にみるDXの戦略、人材、技術」p73.
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/qv6pgp0000000txx-att/000093706.pdf ,(参照2024-11-26).

※参考3:中小企業庁.「2018年版 中小企業白書」.“第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命”.
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_4_1_2.html,(参照2024-11-26).

RPAが衰退しているとされる背景

RPAが衰退しているとされる背景

かつてのRPAブームが過ぎ去り、RPAが衰退しているといわれる背景には、以下の4つの要因があります。

  • 大企業を中心に導入企業が飽和しつつある
  • RPAだけでは自動化できる業務に限界がある
  • 生成AIなどの競合技術が台頭している
  • RPAに関する専門知識を持つ人材が不足している

大企業を中心に導入企業が飽和しつつある

RPAは導入コストが比較的低く、すぐに運用を開始できることから、大企業を中心として急速に導入が進みました。

情報処理推進機構の『DX白書2023』によると、RPAの活用について全社方針を策定している企業の割合は39.5%です。また事業部門・事務部門が独自にRPAを運用する企業は14.2%、方針を策定せず、案件・プロジェクトごとに活用する企業は18.0%と、何らかの形でRPAを導入している企業は合計7割を超えます(※)。

このように従業員規模が大きく、リソースも豊富な大企業ではすでにRPAの導入が完了しているため、RPA市場の成長率が鈍化する一因となっています。

※参考:独立行政法人 情報処理推進機構.「DX白書2023 進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」」p117.
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108041.pdf ,(参照2024-11-26).

RPAだけでは自動化できる業務に限界がある

RPAは他の自動化ツールと比べ、短期間で導入効果が分かるという特徴があります。RPAが登場した当初は、年間で数千時間にも及ぶ業務削減効果が得られた事例が盛んに取り上げられ、RPAは自動化ツールの代名詞的存在となりました。

しかしRPAには、自動化できる業務に限界があることも徐々に知られるようになりました。例えば、標準的なRPAツールには、紙の書類をスキャンし、記入内容をデータ化する機能があります。一方で、読み取ったデータを整理整頓したり、データに基づいて顧客からの問い合わせに回答したりする作業は、多くのRPAツールには対応できません。

特に近年では、業務プロセスの複雑化が進んでおり、RPAには対応できない非定型的な業務が増加しています。RPAのみを導入しても、人間による手作業が残ってしまうことから、RPAの利用を見直す企業も増えつつあります。

生成AIなどの競合技術が台頭している

RPAに代わり注目を集めているのが、生成AIなどの競合技術です。特に生成AIは汎用性が高く、非定型的な業務を高度なレベルで自動化できるため、導入企業が増加しています。

例えば、生成AIはデータを取得するだけでなく、学習に基づいてデータの意味や内容を理解できます。自然言語処理によって、曖昧な情報や不足している情報を補えるため、顧客からの問い合わせに回答することも可能です。

またデータの読み取り精度も、生成AIを用いたツールの方が高いといわれています。標準的なRPAツールの場合、パソコン画面の座標などに基づいてデータを取得するため、画面構成が変わるとロボットを開発し直さなければなりません。しかし、生成AIはディープラーニングを用いたAI-OCR(紙媒体の情報を読み取るOCR技術にAIを組み込んだ技術)や、画像認識技術の組み合わせにより、必要なデータを自動的に判断して取得できます。

生成AI市場は急速に拡大しており、2023年から2030年にかけての年平均成長率は47.2%と予測されています(※)。このように生成AIなどの競合技術が台頭していることから、RPAへの期待感が相対的に低下する原因となりました。

※参考:日本貿易振興機構.「魅力的な注目市場分野」.
https://www.jetro.go.jp/invest/attractive_sectors/ict/attractive_markets.html ,(参照2024-11-26).

RPAに関する専門知識を持つ人材が不足している

RPAツールを自社だけで導入するには、RPAに関する専門知識を持つ人材が必要です。しかし、中小企業ではIT人材が不足する傾向にあることから、RPAの導入が進まない要因となっています。

以下の表は、IoTやビッグデータ、AI、RPAなどの先端技術に関する人材・組織体制について、大企業と中小企業で比較したものです(※)。

企業規模 専門組織やプロジェクトチームを設置している 専属の社員を配置している 明示的には存在しない
大企業 18.1% 8.3% 73.6%
中小企業 3.7% 7.1% 89.2%

大企業は26.4%が何らかの人材・組織体制を有しているのに対し、中小企業では10.8%にとどまります。

生成AIなどの競合技術の中には、RPAよりも導入のハードルが低く、操作が簡単なツールも少なくありません。こうした要因が複合的に重なったため、RPAより投資対効果(ROI)の高いツールに乗り換える企業が増加しました。

※参考:中小企業庁.「2018年版 中小企業白書」.
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/index.html ,(参照2024-11-26).

RPAに将来性はある? 2つの新たな可能性

近年は生成AIなど、RPAと他の先端技術を組み合わせたツールも登場しています。従来のRPAツールと比べ、自動化できる業務範囲が拡大しており、単なる業務効率化を超えた使い方が可能です。

ここでは、RPAの新たな可能性について2つの視点から解説します。

  • 他の自動化ツールとAPI連携する
  • 生成AIと融合させ、RPAの弱点を補う

他の自動化ツールとAPI連携する

RPAを導入しても成果が出ない企業には、1社のRPAツールのみを運用しているケースが多いといわれています。1社のRPAツールだけでは応用できる範囲が狭く、業務プロセス全体の自動化にはつながりません。

RPAツールの中には、API(Application Programming Interface)と呼ばれる仕組みを利用し、他のシステムとシームレスに連携できるものもあります。例えば、金融機関などでチャットボットとRPAを連携すれば、顧客が必要事項を入力するだけで簡単に本人確認や住所変更などの情報の更新が可能です。

また会計システムと連携し、請求書の作成などを自動化できるRPAツールもあります。API連携が可能なRPAツールを導入し、自動化の対象となる業務を拡大しましょう。

生成AIと融合させ、RPAの弱点を補う

生成AIと融合させ、RPAの弱点を補うツールも登場しています。例えば、RPAが取得したデータをAIが解析することにより、高度な予測や意思決定など、知的なタスクを行うことが可能です。

総務省はRPAを3つのクラスに分類しています(※)。

クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や利用技術
クラス1RPA(Robotic Process Automation) 定型業務の自動化 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2EPA(Enhanced Process Automation) 一部非定型業務の自動化 RPAとAIの技術を用いることによる非定型作業の自動化自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3CA(Cognitive Automation) 高度な自律化 プロセスの分析や改善、意思決定を自動化ディープラーニングや自然言語処理

生成AIと融合したRPAツールの導入により、一部の非定型業務の自動化や、業務プロセス全体の高度な自律化が可能です。

※参考:総務省.「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」.
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html,(参照2024-11-26).

RPAの導入時に注意したい2つの課題

RPAの導入時に注意したい課題は2つあります。

導入目的に合ったツールを選ぶ
人的リソースに合ったツールを選ぶ

導入目的に合ったツールを選ぶ

まずはRPAの導入コストや、保守運用にかかる負担を考慮しましょう。RPAは製品によって得意分野が異なり、投資に必要な金額もさまざまです。

一般的に機能が豊富なRPAツールや、高度なAIを組み込んだRPAツールほど、投資額が増える傾向にあります。例えば、導入目的が「名刺をスキャンし、顧客データベースに登録する」といった程度であれば、何十万円も投資してRPAツールを開発する必要はありません。

一方、顧客からの問い合わせを自動化したい場合は、日本語での対話が可能なAIエンジンを搭載したRPAツールを選ぶ必要があります。導入目的に合わせて、投資対効果(ROI)が期待できそうなRPAツールを導入しましょう。

人的リソースに合ったツールを選ぶ

RPAを導入する際は、作業手順の指示やワークフローの作成に一定の専門知識が求められます。社内にIT人材がいない場合は、複雑なコードを記述する必要がない、ローコード開発が可能なRPAツールを選ぶと良いでしょう。

近年は生成AIとRPAを組み合わせ、直感的な操作で業務を自動化できるツールも登場しています。

まとめ:RPAでできることを知り、自社に合った自動化ツールの導入を

RPAは一時期のブームが落ち着き、導入率が伸び悩んでいる一方で、生成AIなどの先端技術と組み合わせた新しいRPAツールが注目されています。しかし、RPAだけに頼るのではなく、自社の業務プロセスや課題に適したツールを選ぶことが重要です。
単純作業の自動化にとどまらず、非定型業務や業務全体を包括的に最適化できるツールを検討することで、より大きな成果が期待できます。また、API連携が可能なツールを活用すれば、自動化の幅をさらに広げることができます。

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