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AIにおけるアノテーションとは? 基礎知識や種類を解説

AIにおけるアノテーションとは? 基礎知識や種類を解説

近年、さまざまな業界で人工知能(AI)の導入が進んでいます。AIの機械学習に必要な教師データを作成するには、アノテーションが欠かせません。

そこで本記事では、AIにおけるアノテーションの重要性や目的、種類、メリット・デメリットなどをお伝えします。アノテーションを効率化できるツールや、手作業とツールの違いについても解説するので、ぜひ最後までお読みください。

アノテーションとは?

アノテーションとは?

まずは、アノテーションの意味や役割、人工知能(AI)の学習における重要性などを解説します。

アノテーションの定義や役割

アノテーションとは、英語で注釈や注解を意味する言葉です。AIにおけるアノテーションとは、AIの機械学習に使用するデータに対し、タグ付けする作業を指します。このプロセスによってデータに意味が付与され、AIの機械学習の精度を向上させられます。

AIモデルの学習におけるアノテーションの重要性

AIモデルの学習において、アノテーションはAIの性能に影響するため、非常に重要です。AIモデルの機械学習は、教師あり学習と教師なし学習の2種類に大別されます。この2つは得意な領域が異なるため、どちらの学習が必要になるのかはAIの目的によって異なります。

主に識別や予測が必要な場面でAIを使う場合は、教師あり学習が必要です。一方、抽出やグループ分けを行う場合には、正解を定義せずに学習させる教師なし学習が用いられます。

AIの大部分で利用されるのは教師あり学習です。教師あり学習では、AIに学習させたいデータにタグ付けして教師データを作成します。このデータにタグ付けする作業がアノテーションです。AIは教師データによる学習を基にアウトプットするため、アノテーションのプロセスで何が正解かを正確に設定しなければ、うまく学習できません。従って、アノテーションの良し悪しが、AIの精度に直接関わります。

アノテーションの目的

アノテーションの目的

AIにおけるアノテーションは、機械学習に必要な教師データを作成して精度を高めることが目的です。アノテーションの役割や、AIモデルに与える影響を解説します。

アノテーションの役割

アノテーションの主な役割は2つあります。一つはAIの機械学習に必要な教師データの作成で、もう一つがビッグデータの管理です。

AIに機械学習を行う際は、大量の教師データが必要になります。AI開発でのアノテーションの位置付けは以下の通りです。

  1. データ収集
  2. アノテーション
  3. 機械学習
  4. モデル完成
  5. 評価
  6. 運用

データ収集の後、データに正しくタグ付けを行うことで、AIは効率よく学習できます。また、近年はさまざまな分野でビッグデータと呼ばれる膨大なデータの活用が注目されています。ビッグデータは個々のデータのタグ付けが必要なため、効率的な管理にはアノテーションが役立つでしょう。

アノテーションがAIモデルに与える影響

アノテーションはAIモデルの精度に大きな影響を与えます。

AIは教師データで学習して精度を上げていきますが、その際、適切なアノテーションが行われたデータを用いることで、AIはデータを正しく識別・活用できるようになります。従って、精度の高いAIモデルの構築には、適切なアノテーションが行われたデータが大量に必要です。

アノテーションの種類

アノテーションの種類

アノテーションの対象となるデータは、主に画像、テキスト、音声の3種類です。それぞれの種類を詳しく解説します。

画像アノテーション

画像アノテーションとは、その画像に何が映っているのかをタグ付けする作業です。画像や動画のアノテーションは、自動運転技術や顔認証システムなどで重要な役割を果たしています。主な手法には次の種類があります。

物体検出(バウンディングボックス)

物体検出とは、画像に映っている物体を一つひとつ識別し、四角い枠で囲んでタグ付けしていく手法のことです。この手法により、AIモデルは人や車など物体を正確に識別できます。また、物体検出は物体が何かだけではなく、位置やサイズを把握するためにも役立つため、交通監視システムなどでも用いられます。

領域抽出(セグメンテーション)

領域抽出とは、特定の領域を選択してタグ付けを行う作業です。四角い枠で囲む物体検出とは異なり、その領域が表す意味をタグ付けします。物体の領域を正確に捉えられるため、物体検出では難しい複雑な画像も解析できます。

画像分類(クラシフィケーション)

画像分類とは、一枚の画像全体にタグ付けを行う手法です。画像の特徴を抽出して、事前に設定したカテゴリに割り当てます。例えば、猫の画像であれば「これは猫」とタグ付けします。

目印の検出(ランドマークアノテーション/キーポイントアノテーション)

目印の検出は、顔認識によく使われます。目、鼻、眉、口、輪郭など顔のパーツを点でタグ付けする手法です。より細かく行うと表情の変化も検出できるため、感情を読み取ることもできます

また、キーポイントアノテーションとは目印の検出の一種で、画像に映る人物の腰、肩、肘、膝などキーポイントと呼ばれる関節の位置を抽出する作業です。骨格を検出できるため「立っている」「座っている」などの姿勢を特定できます。

多角形での領域指定(ポリゴンセグメンテーション)

多角形での領域指定とは、画像に映った物体の領域を多角形で囲む手法です。複雑な形状の物体でも正確にアノテーションできます。

テキストアノテーション

テキストアノテーションとは、あらかじめ定義された分類項目を基にして、テキストの文章にタグ付けする作業です。テキストアノテーションの精度は、自然言語処理の効果に大きく影響します。

テキストアノテーションには主に次の種類があります。

エンティティ認識(NER)

エンティティ認識とは自然言語処理の技術の一つで、テキストデータから特定のエンティティ(日時、人名、地名、織名など)を抽出してカテゴリを識別し、タグ付けを行います。

感情分析(センチメントアノテーション)

感情分析とは、テキストデータの感情をポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなどに分類する手法です。

テキスト分類

テキスト分類とは、テキストデータを特定のカテゴリに分類するプロセスです。例えばニュース記事を、政治、スポーツなどのカテゴリ別に分類します。テキスト分類は主にデータ収集や分析などに役立てられます。

音声アノテーション

音声アノテーションとは、音声を文章で書き起こし、一つずつ単語の意味をタグ付けしていく作業です。主に、音量や音の種類と音声の意味をタグ付けします。

AIに膨大な量のタグ付けされた音声データを学習させると、タグ付けされていない音声データを入力した場合でも正しく認識して書き起こせるようになります。

音声認識

音声認識とは、音声をテキスト化する技術です。ユーザーの音声を理解して、指示を実行するために使用します。

音声ラベリング

音声をテキスト化したら、単語一つひとつに意味をタグ付けします。ラベリングは名詞だけでなく、「ああ」「おお」などの感嘆詞にも必要です。

アノテーションのメリット・デメリット

アノテーションには、メリットだけでなく注意点もあります。以下ではアノテーションのメリットとデメリットを解説します。

アノテーションのメリット

アノテーションの主なメリットは以下の2つです。

  • AIの性能が向上する
  • 業務の効率化

AIの性能が向上する

アノテーションの大きなメリットは、AIの性能を向上させられることです画像に対して正確なタグ付けを行うことで、AIは画像内の物体を正確に識別できるようになります。画像認識は、セキュリティーシステムや医療の分野など幅広い分野で応用可能です。

また、膨大な量の音声データで学習すると、AIは言語やアクセントの違いも認識してテキスト化できるようになります。音声認識による音声アシスタントの精度を向上させられます。

テキストアノテーションでは、単語に対して意味や感情などをタグ付けできるため、感情の分析が可能です。アノテーションの活用でAIシステムの精度が上がり、ユーザーエクスペリエンスの大幅な改善による生産性の向上に期待できます。

業務の効率化

正確なアノテーションが行われたAIは精度が高く、業務効率化に貢献します。これまで手作業で行っていた業務を自動化できるため、人的ミスを軽減したり人件費を削減したりできるでしょう。

例えば、製造業ではAIに良品と不良品の画像データを学習させておくと、不良品を検出し早期に排除できます。

アノテーションのデメリット

アノテーションの主なデメリットには、以下の2つがあります。

  • 作業に時間とコストがかかる
  • 正確なタグ付けが必要

作業に時間とコストがかかる

AIの精度を高めるには、膨大な量のデータを収集して、正確なタグ付けが必要です。データ量が少なければ作業負担は軽減されますが、学習が不足するためAIの精度が低下してしまいます。

大量のデータにタグ付けするためには膨大な時間が必要です。加えて、専門スキルを持つアノテーターの雇用や最先端のアノテーションツールの導入などにコストがかかります。

正確なタグ付けが必要

AIが正確な予測を行うには、タグ付けも正確でなくてはいけません。もし誤ったタグ付けを行った場合、AIが不正確なデータで学習してしまい、アウトプットに誤りが生じます。

タグ付けは誰にでもできる簡単な作業ではありません。アノテーションの知識が豊富な人材が必要です。

アノテーションを効率化するツールの紹介

AIの精度を向上させるには、品質の高いデータが大量に必要です。手作業のみのアノテーションでは膨大な時間がかかるでしょう。そこで、教師データの作成を自動化・効率化できるツールを利用する方法があります。

自動化や効率化できるアノテーションツールの紹介

アノテーションツールの主な機能は、自動アノテーション、対象の抽出とラベル付け、データの出力、データ拡張、進捗管理機能などです。

現時点では、ツールを利用しても完全な自動化は難しいものの、アノテーションの効率化は図れます。ここでは、アノテーションを効率化できるツールを3つ紹介します。

FastLabel

FastLabelは、高品質な教師データ作成サービスです。自動アノテーションによって、作業にかかるコストや期間を削減できる上、データ収集やデータ生成も可能です。端末へのインストールは必要なく、画像・動画やテキスト、音声などのアノテーションをWeb上から開始できます。導入企業数は100社以上、ラベル提供は1000万以上と多くの企業に利用されています。

harBest

harBestは、データの収集やデータの作成を発注できるツールです。スマートフォンのアプリharBestに登録している多数のクラウドワーカーにアウトソーシングできるため、短期間で高品質なデータ収集・作成を実現します。

VOTT

VOTTは、無料で利用できるアノテーションツールです。WindowsやMac、Linuxで利用できて、主に画像・動画にアノテーションを行えます。GUI操作が導入されており、専門知識がない初心者の方でも簡単にタグ付けを行えます。ただし、現在はアップデートされていないため、最新の機能が必要な場合は他のツールも検討した方が良いでしょう。

人力アノテーションと自動アノテーションの比較

アノテーションには、手作業で行う方法と自動化できるツールを利用する方法があります。ツールを利用すれば、作業にかかる負担を軽減できますが、現時点ではツールを使っても完全な自動化は難しいです。手作業を効率化するためのサポートとして、自動化や効率化できるツールを利用するのが良いでしょう。

手作業で行うアノテーションは、ルール整備や習熟度が高いアノテーターによる作業によって、高い品質を担保できます。また、自動化できる範囲が限定されるアノテーションツールに比べ、手作業であれば幅広く対応することが可能です。

一方、アノテーションツールを利用すると作業時間を短縮できます。機械学習には大量のデータが必要なので、タグ付けを手作業のみで実施すると膨大な作業時間がかかります。しかしツールを活用すれば、作業時間の大幅な短縮が可能です。また、手作業は人件費がかかりますが、ツールを使うと自動化によってコストを削減できる可能性があります。

アノテーションの今後の展望

スマートフォンなどの音声認識、自動運転、医療機関のCT画像など、さまざまな分野でAIの活用が進んでいます。AIの進歩に伴い、アノテーションは今後ますます需要が高まると考えられています。

アノテーションツールはさらに発展し、より多くのニーズに応えられるようになるでしょう。

まとめ:ツールなどで効率化を図りながらアノテーションによるAIの精度向上を目指す

高精度なAIシステムには、質の高い教師データが大量に必要であり、アノテーションが不可欠です。ただし、アノテーションは作業に膨大な時間とコストがかかります。作業を効率化するツールの活用や、代行業者への相談も検討しましょう。

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