AIが「できること」と「苦手なこと」とは? 開発プロセスや活用ポイントも含めて解説
2025.3.13
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ECサイトの運営には、「問い合わせ対応で他の業務に手が回らない」「サイト離脱率やかご落ちが多い」といった課題が付きものです。これらの課題を解決するツールとして、近年多くのECサイトが、チャットボットを導入しています。ECサイトにチャットボットを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
本記事では、ECサイトにチャットボットを導入する目的や、チャットボットの主な機能、導入のメリットや手順、注意点などを分かりやすく解説します。チャットボットを導入すると、業務効率の改善やコンバージョン率の向上、顧客満足度の向上などを目指せます。ECサイトの運営に課題を抱えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
チャットボットとは、顧客からの問い合わせに対し、自動で返答を行うプログラムを指します。会話を意味する「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉です。
チャットボットを導入すると、自動で問い合わせ対応やカスタマーサポートが行えるため、近年多くのECサイトや企業のWebサイトなどで、チャットボットの導入が進んでいます。
ECサイトにチャットボットを導入する目的には、以下のようなものがあります。
それぞれの目的に対するチャットボットを用いた解決策の例を見ていきましょう。
目的 | 解決策 |
---|---|
業務効率化 | ・一次対応の自動化 ・FAQ対応の自動化 ・問い合わせ内容の分類 |
顧客体験の最適化 | ・問い合わせの24時間365日対応 ・商品検索 ・購入サポート ・チャットボットのキャラクター化 |
コンバージョン率への貢献 | ・決済サポート ・配送日・送料の自動案内 ・問い合わせへの即時対応 |
フィードバック収集 | ・質問内容の分析 ・顧客行動の分析 ・アンケートの収集 ・ニーズの把握 |
マーケティング支援 | ・データを基にしたおすすめ商品や類似商品の提案 |
チャットボットの導入によって、全ての目的が自動化できるわけではありませんが、これまで人材や時間、コストを割いていた業務の多くで自動化ができるようになります。有人対応と適切に組み合わせることで、ECサイト運営で抱えている課題の解決が目指せるでしょう。
チャットボットの機能には、主にどのようなものがあるのでしょうか。チャットボットの主な機能を3つご紹介します。
チャットボットを導入すれば、FAQ対応の自動化が行えます。
FAQ対応を自動化するには、ECサイトや取り扱っている商品に関するFAQの事前登録が必要です。顧客からの問い合わせの回答がFAQに含まれている場合、チャットボットが自動で回答してくれるため、人の手を介さずに、顧客が疑問を解決できます。
問い合わせに対して、システムが迅速に回答を見つけ出してくれるため、有人対応よりもスピーディーな対応が可能です。
チャットボットには、購入支援機能やレコメンド機能も備わっています。
購入支援機能で購入までの流れを自動で案内すれば、ECサイトに不慣れな顧客でもスムーズに購入プロセスを進めることが可能です。またレコメンド機能によって、顧客が興味を持ちそうな商品や人気商品の提案ができるため、顧客の購入行動を促しやすくなります。
チャットボットを活用すると、決済や配送のサポートを行うことも可能です。
チャットボットと決済プラットフォームを連携させると、顧客はチャットボットと会話をしながら、顧客情報や支払い情報、配送先情報、配送日時指定などの入力が行えるようになります。また決済完了通知や、支払いステータス情報などもチャットボットで表示させることが可能です。
配送状況がチャットボットで確認ができる他、再配達リクエストを自動化させることもできます。
ECサイトにチャットボットを導入すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。チャットボット導入による8つのメリットをご紹介します。
ECサイトにチャットボットを導入すれば、24時間365日問い合わせ対応を行うことが可能です。
ECサイトで買い物をするタイミングは顧客によってさまざまで、夜間や深夜に購入する顧客も少なくありません。24時間365日問い合わせに対応していない場合、顧客の購買意欲が高いタイミングで適切な情報が提供できず、機会損失につながってしまいます。
有人対応でも24時間365日問い合わせを受け付けることは可能ですが、そのためには多くのスタッフを確保しなければならず、コストも膨大にかかってしまうでしょう。チャットボットであれば、スタッフを確保しなくても、24時間365日対応ができるようになるため、低コストで機会損失を防げます。
また顧客が疑問や不明点をいつでも問い合わせができるようになることで、顧客満足度向上も目指せるでしょう。
問い合わせへのハードルを下げられることも、ECサイトにチャットボットを導入するメリットの一つです。
チャットボットを設置すると、ECサイト上ですぐに問い合わせが行えます。従来の問い合わせ方法である電話やメールと比べて、問い合わせへのハードルが低いため、疑問点や不明点が原因のサイト離脱を防げるでしょう。特に電話のみの対応を行っているECサイトは、チャットボット導入によって問い合わせへのハードルがかなり下がるため、購入につなげられる可能性が高くなります。
問い合わせへの対応を均一化できることも、ECサイトにチャットボットを導入するメリットの一つです。
有人対応の場合、対応するスタッフによって対応品質にばらつきが出てしまいます。知識が十分でないスタッフが対応してしまうと、回答した内容が間違ってしまうケースもあるでしょう。
しかしチャットボットなら、事前登録した内容に沿って対応を行うため、問い合わせの対応品質に差が出てしまうことはありません。業務の属人化も防止できるでしょう。
ECサイトにチャットボットを導入すれば、業務負担を軽減できます。
ECサイトには、日々顧客からさまざまな問い合わせがあります。電話やメールでの問い合わせ対応の場合、スタッフがその都度対応しなければなりません。規模が小さなECサイトの場合、他の業務を行いながら問い合わせにも対応しなければならず、スタッフの業務負担がかなり大きくなってしまうケースもあるはずです。
チャットボットを導入すれば、問い合わせ対応の多くをチャットボットが行ってくれるため、スタッフの負担を大幅に軽減できます。これまで問い合わせにかかっていた時間を他の業務に充てられるようになるため、生産性も向上するでしょう。
またチャットボットは、一部のクレームにも対応可能です。有人でのクレーム対応は、精神的な負担が大きく、メンタルに支障が出てしまうスタッフも少なくありません。チャットボットを導入すると、精神的な負担も軽減できるでしょう。
コストを削減できることも、ECサイトにチャットボットを導入するメリットの一つです。
ECサイトを運営している方の中には、問い合わせ対応を行うためにスタッフを雇用しているケースもあるでしょう。チャットボットを導入すれば、前述した通り、業務の効率化が図れるため、人件費や研修費にかかるコストを削減できます。
スタッフが問い合わせ対応と他の業務を並行して行っている場合も、業務効率が改善するため、残業代の削減につながるでしょう。
ECサイトにチャットボットを導入すれば、コンバージョン率の向上も目指せます。
コンバージョンとは「最終的な成果」のことで、ECサイトにおける代表的なコンバージョンは「商品の購入」です。商品の購入が多ければ多いほど、コンバージョン率が向上します。
ECサイトでは商品を閲覧したり、カートに入れたりしたものの、購入につながらないケースも少なくありません。購入に至らない理由はさまざまですが、商品に対する疑問や不明点があったときに、すぐ解消できないことも原因の一つです。
チャットボットを導入すると、商品に関する問い合わせの自動化や、決済のサポートや商品や送料、配送日に関する問い合わせも自動化できます。顧客の購入意欲が高い段階で、スムーズに購入へと誘導できるようになるでしょう。
ECサイトにチャットボットを導入すると、フィードバックが集めやすくなるというメリットもあります。
直接顧客と会話ができる実店舗と異なり、ECサイトでは顧客のリアルな声を聞く機会が少ないです。メールなどでアンケートの回答依頼を送ることもできますが、手間に感じてしまう顧客も多いため、思うようにフィードバックを収集できていないECサイトも多いでしょう。
チャットボットを導入すれば、チャット上でアンケートに回答してもらえます。メールよりも手軽な回答方法なため、協力してくれる顧客も多いはずです。フィードバックが収集しにくいECサイトにとって、貴重な顧客の声を集められる窓口となるでしょう。
データの利活用ができることも、ECサイトにチャットボットを導入するメリットの一つです。
チャットボットは、顧客からの問い合わせ内容やサイト上での行動をデータとして蓄積します。そのデータの分析を通じて、ECサイトの改善や新製品の開発、おすすめ商品や関連商品の提案などを行うことが可能です。またチャットボットの対応品質の向上にも活用できます。
データを利活用すればより良いサイト運営が行えるようになり、顧客満足度向上や売上向上が目指せるでしょう。
ECサイトにチャットボットを導入する際は、どのような流れで導入すれば良いのでしょうか。ECサイトにチャットボットを導入する手順を解説します。
チャットボットを導入する際は、まず導入目的を明確化しましょう。
前述の通り、ECサイトへチャットボットを導入する目的には、以下のようなものがあります。
自社が抱える課題を基に、導入目的を検討しましょう。どのような目的に重点を置いてチャットボットを導入するかを明確にすることで、チャットボットに求める機能や運用方針を決定しやすくなります。
導入目的が明確になったら、導入・運用体制を構築していきます。
導入する際も運用を始めてからも、さまざまな作業が発生します。導入や運用を行う担当者を決めることで、スムーズにシステムの導入や運用が行えるでしょう。また担当者が導入や運用に集中できるよう、社内体制を見直すことも大切です。
導入・運用体制を構築したら、導入するシステムの選定を行います。
自社に合ったチャットボットを導入するために、最初に決定した導入目的を基にして、どのような機能が必要かを検討しましょう。その上で、求める機能を網羅したシステムを選ぶことが大切です。
費用やサポート内容、無料トライアルの有無なども踏まえて、複数のシステムを比較してみてください。
導入するシステムを選定したら、チャットボットを設置する位置を決めましょう。
導入目的によって、チャットボットを設置する適切な位置は変わってきます。例えば業務効率化を目的とする場合、トップページやFAQページに設定するのが効果的です。コンバージョン率向上を目的とする場合は、商品詳細ページやカートページ、決済ページに設置すると良いでしょう。
またチャットボットは、表示させるタイミングも設定可能です。ページの閲覧から一定時間経過したタイミングや、スクロール時などに設定すると、顧客がチャットボットに気付きやすくなります。
チャットボットを運用するには、シナリオとFAQの作成が必要です。
シナリオは、問い合わせ内容から回答までの流れを意味します。一つの質問に対し、いくつかの階層を設定し、階層ごとに選択肢を選んでもらうことで、顧客が求める回答にたどり着けるようにします。ただし、AI搭載のチャットボットなどの場合、シナリオ作成は必要ありません。
FAQの作成は、FAQ対応の自動化に必要不可欠です。既にFAQを作成している場合は、それを活用できます。FAQがない場合は、過去の問い合わせ内容を基に、よく寄せられる質問とその回答を作成しましょう。
シナリオとFAQが作成できたら、テスト運用を開始します。
テスト運用は、期間や対象者を絞って実施するのが一般的です。いくら入念に準備をしても、カバーできていない問い合わせや、想定外の問い合わせが寄せられる可能性はあります。テスト運用を行うことで、不足している点が見えてくるでしょう。
テスト運用の結果を基に修正や改善を行い、顧客からの問い合わせ内容に対するシナリオやFAQをできる限り網羅した状態で、運用を開始するのが望ましいです。
テスト運用後の修正・改善ができたら、本格的な運用を始めます。
運用後も問い合わせ内容やデータを定期的に分析し、修正や改善を行いながら、チャットボットの精度を高めましょう。
ECサイトでチャットボットを活用し、成功した事例をいくつかご紹介します。
あるアパレルECサイトでは、従来電話で行っていた電話対応の代わりとして、チャットボットを導入し、問い合わせを自動化しています。
チャットボットを導入したことで、24時間365日問い合わせ対応ができるようになり、スタッフの業務負担の軽減と顧客の利便性向上の両立を実現しました。
ある食品販売を行っているECサイトは、扱っている商品の種類が膨大なため、顧客が探している商品にたどり着きにくいという課題がありました。
そこで、商品検索機能を搭載したチャットボットを設置し、顧客が求める商品が簡単に検索できるようにしています。シナリオの階層を深く設定することで、より顧客のニーズにマッチした商品の提案ができるようになりました。
あるファッション系ECサイトでは、チャットボットを活用して、商品に関する質問への対応や、コーディネートの相談などを行っています。
チャットボットでの対応のみでなく、必要に応じてスタッフも対応することで、実店舗で買い物をしているような感覚を味わってもらえるようになり、顧客体験の質を高め、顧客満足度向上につなげています。
ECサイトにチャットボットを導入する際は、いくつか注意しておきたいポイントがあります。導入を検討している方は、これからご紹介する3つの注意点を押さえておきましょう。
どのような目的でECサイトにチャットボットを導入する場合でも、顧客体験の向上を意識した設計にすることを心掛けましょう。
多くの業界がECサイトを運営し、市場が成熟している現代において、商品自体の価値のみで競争力を高めるのは難しいとされています。顧客体験の向上を意識したチャットボットを設置すると、顧客満足度が向上し、リピート購入や口コミの拡散が見込める他、ブランドロイヤルティの強化による顧客との関係構築なども目指せるでしょう。
顧客体験を向上させるには、操作性を重視したチャットボットの導入や、ストレスなく会話ができるシナリオ設計、親しみが感じられるチャットボットキャラクターなどが効果的です。
ECサイトにチャットボットを導入したら、運用後に定期的なデータ分析を行い、改善を重ねることが大切です。
データ分析を行うと、どのポイントで顧客が離脱しているかが分かるため、チャットボットの問題点や課題が見つけやすくなります。問題点や課題を基に、シナリオやFAQを改善すれば、離脱を防げるようになるでしょう。
また顧客からの問い合わせ内容を基に、シナリオの修正やFAQの追加を行ったり、フィードバックの内容を反映させたりすることで、顧客にとってより利便性の高いチャットボットへと改善できるはずです。
ECサイトにチャットボットを導入したからといって、チャットボットのみに頼らないようにしましょう。
チャットボットはECサイトの業務効率化や顧客満足度向上、コンバージョン率の向上などを目指せる便利なツールですが、万能というわけではありません。例えば、事前にFAQに登録していない内容や複雑な質問は、チャットボットでの対応が難しいです。
ショートカットメニューを設置し、スタッフによる対応にスムーズにつなげられるように設計して、必要に応じて有人対応が行える体制を構築しておくと良いでしょう。
ECサイトにチャットボットを導入すれば、これまでお問い合わせ対応にかかっていたリソースやコストを節約できる他、より良い顧客体験を提供できます。チャットボットの導入を行う際は、導入目的を明確にし、自社の課題を解決できる運用方法を検討することが大切です。導入後も定期的なブラッシュアップを行い、より良いサイト運営を行いましょう。
ECサイト運営にもオススメしたいのが、生成AIを活用したチャットボット「amie AIチャットボット」。amieは、既存のドキュメントやWebサイトからAIが学習した内容から回答を抽出できるのが特徴で、ECサイトに設置すればチャットボットによる自動回答の仕組みを構築できます。無料トライアルもご用意しているため、生成AIを活用したチャットボットの導入を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。