チャットボットとは? 使い方や活用方法、運用で起こりやすい問題点を解説
2024.9.26
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製造業や医療業界など、即時の判断が求められる分野では、リアルタイムでの高速情報処理が不可欠です。従来のクラウドを介した処理では、通信遅延や回線負荷の影響を受ける可能性がありました。そこで注目されているのが、デバイス上でデータを処理するエッジAIです。
本記事では、エッジAIの仕組みや活用事例、メリットを分かりやすく解説します。既存システムでの情報処理の遅延が発生している方や、効率的に業務改善を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
エッジAIとは、エッジコンピューティングを活用したAI技術です。クラウドを介さずにリアルタイムで情報を処理したり、他システムに転送したりできます。DX化が進む現在、エッジAIは製造業をはじめとするさまざまな業界で導入され、業務の効率化に貢献しています。
まずはエッジAIの基本概念や仕組み、エッジコンピューティングの技術を活用した情報処理の重要性を理解しましょう。
先述の通り、エッジAIとはエッジコンピューティングを生かしたAIです。
エッジコンピューティングとは、デバイス付近に設置されたコンピュータでデータ処理を行う仕組みです。クラウドを介さずにデバイスの近くでデータを処理することで、処理速度を向上させられます。
従来のクラウドAIでは、データをクラウドサーバーに送信するため、処理結果を受け取るまでに一定の時間がかかります。大規模なデータ分析や複雑な計算には強いですが、常にクラウドと通信する必要があるため、通信環境や回線状況に依存しやすい傾向があります。
一方、エッジAIではデバイス自体がデータを処理するため、クラウドに送信するデータ量を大幅に削減することが可能です。通信回数を抑えながら情報処理を行うことで応答時間を短縮でき、即座に判断を下せるようになります。
このように、高速で迅速な情報処理を行うエッジAIは、製造業や医療、農業、警備業界などの迅速な判断と対応が求められる業界で重要視されるようになりました。
エッジコンピューティングの技術を活用することで、リアルタイムでの情報処理ができるようになります。
クラウド型のAIは、AmazonやMicrosoft、Googleなどの大企業で一般的に提供されています。これらの企業がクラウドAIを活用するのは、クラウド環境がAIの機械学習能力を十分に生かせる仕組みを備えているためです。
クラウドAIの場合、膨大な量の学習データをクラウドプラットフォーム上に保存し、処理能力の高いCPUやGPUを使って高速処理を行います。この機械学習の仕組みによって、よりユーザーのニーズに合った高性能なAIモデルの構築が可能です。
その一方で、異常やエラーの検知からAIによる自動処理、さらに担当者への通知まで、複数の処理が必要になります。そのため、クラウドAIは、異常検知の情報が担当者に届くまでに時間がかかる可能性があります。
エッジAIでは、ネットワークの「端」つまり「エッジ」でデータを素早く処理できるため、情報検知から対応までの流れがスムーズに進めることが可能です。リアルタイムでの情報処理ができれば、顧客対応やサービスの質向上、ヒューマンエラーの防止に大きく貢献するでしょう。
例えば、小売業界の在庫管理にエッジAIを導入すれば、店頭や倉庫の在庫状況をリアルタイムで把握できます。在庫切れの商品を自動で検知することで、発注や補充作業をすぐに進められるようになり、品切れによる売上損失を回避できるでしょう。
またエッジAIは、製造業の生産ラインや品質管理でも活躍します。機械やロボットのエラーを瞬時に通知できなければ、担当者が異常に気付かずそのままライン作業を進めてしまうケースもあるでしょう。エラーを見逃すと、製品の品質低下や従業員のけがや事故につながる恐れもあります。
このような瞬時な判断と迅速な対応が求められるシーンでは、リアルタイムでの迅速な情報処理と伝達能力が不可欠です。リアルタイムでの対応に重きを置いているエッジAIは、迅速な異常検知が求められる業界を中心に今後も需要が高まっていくでしょう。
エッジAIの仕組みや、デバイス上でのAI推論を詳しく解説します。
エッジAIでデータ処理をする際、複数のエッジデバイスにデータを分散させています。
クラウドAIでは、デバイスで収集したデータをインターネット経由でクラウドサーバーに送信し、その後処理が完了したら通知や結果を受け取る仕組みです。
例えば、自宅療養中の患者さんの心拍数や血圧を遠隔で監視している場合、クラウドAIではデータをインターネット経由でサーバーに送信し、異常がないか確認します。その後、再び通信を介して病院のスタッフに異常を通知する流れになります。
クラウドAIは、カメラや検知システムなどの複数の情報を送れるため、情報処理に必要な計算リソースを考慮する必要がありません。しかし、処理する情報量が多いためにコストがかかり、ネットワークに負荷もかかります。またインターネットを経由して端末に情報を送るため、情報漏えいのリスクも高いです。
一方、エッジAIでは、デバイス自体や近くのローカル環境でデータ処理を行います。先ほどの自宅療養中の患者さんのケースで考えると、医療機器に搭載されたエッジAIが心拍数や血圧の異常をその場で検知し、病院のスタッフに直接通知します。
このときクラウドを介さないため、通信遅延やネットワーク負荷の心配がなく、即時に対応することが可能です。
エッジAIは、エッジデバイス上でAI推論を行うため、インターネットに接続しなくても情報を処理できます。クラウドAIでは、データをサーバーに送信し、クラウド上のAIが解析を行った後に必要な情報を端末に送ります。
エッジAIはデバイス自体にAIが搭載されており、ローカル環境で推論を実行するため、クラウドAIのようにサーバーからの情報送信を待つ必要がなく、情報の高速で処理することが可能です。
代表的なエッジデバイスとして、以下のようなものが挙げられます。
例えば、室内の照明を自動で調節してくれるスマートライトでは、端末に搭載されたエッジデバイス上で情報を取得し、適切な明るさに調節します。クラウドAIならサーバーにいったん情報を送る必要があるため、調整までに時間がかかりますが、エッジAIならデバイスから直接情報が伝達されるため、迅速な調整が可能となります。
ネットワークの利用は通信料がかかるため、ローカル環境で情報処理を行うことで通信コストの削減も期待できるでしょう。
エッジAIは、リアルタイム処理と低遅延の実現にも大きく貢献します。
従来のAIでリアルタイムでの情報処理を重視すると、その分データ分析や伝達に時間がかかってしまいます。特に、製造業での異常検知や自動運転の危機回避など、瞬時な判断が必要なシーンでは、クラウドAIの処理遅延が大きな課題になるでしょう。
しかし、エッジAIはデータ処理をデバイス近くで実施するため、クラウドAIよりも情報の受け渡しが早いです。エッジAIに切り替えることで、より迅速で効率的な業務フローが実現できます。
現在のエッジコンピューティングにおいて、リアルタイムでの処理が重要な要素となっています。以前のエッジコンピューティングの主な目的は、IoTデバイスが生成する膨大なデータを整理し、クラウドへ効率良く送信することでした。具体的には、データの前処理やフィルタリングをする役割を担い、それに伴う負荷はクラウド側で実行されるのが一般的でした。
しかし技術の進化に伴い、より早いスピードでの情報処理が重要視されるようになってきています。エッジAIは、このようなリアルタイム処理を可能にし、低遅延でのデータ分析や意思決定を実現します。
エッジAIを活用することで、以下のようなメリットを得られます。
エッジAIを活用することで、通信コストの削減が期待できます。
通常のクラウドAIは、多くのデータをサーバーに送信しなければなりません。サーバーに送信するだけではなく、その後エッジデバイスに情報を受け渡す必要があるため、通信コストか多くかかる可能性があります。
しかし、エッジAIはサーバーではなく、端末のエッジから情報を送るため、データ量が下がって通信コストを抑えられます。通信コストを削減できれば、他の重要な業務に資金を投資できるようになるでしょう。
また、通信料の削減に伴い、通信帯域の占有も抑えられます。結果としてネットワークの混雑が軽減され、通信速度の低下や遅延を抑制することが可能です。メインで使っている以外の回線への影響も少なくなるため、システム全体の安定性が向上します。
さらに、通信費がデータ使用量に応じて決まる従量制のプランを契約している場合、通信費と併せてランニングコストを減らすことも可能です。
エッジAIの導入により、リアルタイム性の向上も期待できます。
クラウドAIは、サーバーを経由してデータをやり取りする仕組みのため、通信回線の混雑やクラウド側の不具合によっては処理結果の伝達に遅れが生じる場合があります。回線速度が低下すると、社内業務や顧客対応がスムーズにできないケースもあるでしょう。
一方、エッジAIはローカル環境でデータを完結させるため、ネットワークの影響を受けにくいのがメリットです。常に安定した情報処理を維持し、リアルタイムでの対応を実現します。インターネットの接続なしで利用でき、大規模な通信障害に左右されるリスクが少ないのも利点です。
このように、エッジAIを活用することで処理速度が向上するだけでなく、ネットワーク負荷の軽減や通信の安定性確保が期待でき、結果としてリアルタイム性の向上につながります。
エッジAIはインターネットに接続せずに利用できるため、セキュリティ対策としても有効です。
インターネットを経由して情報を処理すると、個人情報や機密情報を含むデータが外部サーバーに送信されることになります。データの送受信時にサイバー攻撃や不正アクセスのターゲットになると、情報が外部に漏えいするリスクがあります。
しかし、エッジAIなら重要な情報をデバイス内で処理できるため、情報漏えいリスクの軽減が可能です。特に金融業界では、顧客の口座番号や暗証番号などの機密性の高いデータを扱います。エッジAIを使用すれば、このような機密情報をデバイス内でとどめられるため、データ流出のリスクを抑えることが可能です。
エッジAIの導入は、企業や組織が抱える情報セキュリティの課題を解決し、顧客からの信頼性を維持するための有効な手段となります。
エッジAIは、迅速な意思決定とタスクの実行を重視する業界で活躍しています。以下で、具体的な活用事例を見ていきましょう。
エッジAIは、自動運転技術で活用されています。自動運転で安全な走行を維持するには、障害物や交通状況、速度、進路などを正確かつ瞬時に判断する必要があります。情報伝達のスピード感に優れているエッジAIは、自動運転の実現に大きく貢献する技術です。
例えば、走行中にカメラが捉えた画像やライダーで計測した距離データを基に、周囲の歩行者や他の車両、障害物の位置や速度を即座に把握します。その過程で、歩行者の飛び出しや前方車両の急停止などの異常があった場合、ブレーキの作動や回避動作を速やかに実行する仕組みです。
エッジAIは、ドライバーの状態を把握するシステムにも利用されている技術です。具体的には、車内に取り付けられたカメラでドライバーの顔の向きや瞬きのパターンを細かくチェックし、集中力の低下や眠気の兆しがないかを確認します。適切な状態ではないと判断された場合は、カーナビの画面に警告を表示したり、管理室へ状況を連絡したりするものもあります。
エッジAIは、製造業のスマートファクトリー構築の分野でも採用されています。
スマートファクトリーとは、工場内のロボットや機械、装置、システムがネットワークでつながり、リアルタイムで生産状況を把握・制御する製造現場です。DX化を背景に、次世代に残る製造現場の構築を目指してあらゆる企業が取り組んでいます。
エッジAIを取り入れれば、工場内の各機械や設備から送られるデータを即座に解析でき、異常やトラブルの予兆を早期に検知できます。例えば、生産ラインのモーターの速度に異常がある場合、AIが「このままラインを稼働させるのは危険」と判断し、担当者に知らせるといったイメージです。エラーの原因特定が迅速にできれば、トラブルが拡大するリスクを軽減できるだけではなく、現場の生産性も高められるでしょう。
また、製品検査の自動化だけではなく、精度の高い品質管理も期待できます。部品の不良箇所をエッジAIに検出させれば、製品の品質が均一になり、取引先の信頼を得ることにもつながります。
エッジAIとloTを連携させることで、工場やスマートシティの監視システムの質が上がります。工場で無人運転を行っている場合、リアルタイムでの監視が特に重要です。リアルタイムで生産ラインの異常や製品の不良を検知できなければ、企業の信頼性を低下させる重大なトラブルが起こる可能性があります。
しかし、異常や不良を早期に検知するには、エッジAIだけでは対応しきれないケースがあります。そのような場合、エッジAIとloTデバイスを組み合わせれば、工場のカメラやセンサーで収集した情報を、エッジAIが瞬時に分析することが可能です。
そもそもIoTデバイスとは、スマートフォンやスマートウォッチなどのインターネットに接続されている機器を指します。loTデバイスは、インターネットの利用範囲の拡大によって幅広いユーザーに使用されており、企業や組織の業務効率化に役立っています。
エッジAIとloTデバイスの連携は、製造業だけではなく、交通量の解析や電力の監視にも活用することが可能です。
エッジAIは情報の高速処理が可能なAIですが、処理能力や運用コストの面で課題があります。導入をスムーズに進めるには、以下の課題に対してどのように対策していくか事前に考える必要があります。
エッジAIは、クラウドに依存せずエッジデバイス内で情報の解析を行いますが、そのデバイスに搭載できるハードウェアのリソースには限界があります。そのため、処理性能が十分ではない端末では、大量のデータ処理や計算負荷の高いタスクを実行する際に、動作が遅くなったり、リアルタイム性が損なわれたりする可能性があります。
また、エッジAIの処理能力を上げるには、デバイス自体のスペックを強化しなければなりません。しかし、スペック強化には新しいハードウェアの開発や導入が求められるため、追加でコストがかかる場合があります。
そのため、エッジAIの導入を検討する際は、想定するタスク量を安定してこなせるかどうかを確認しましょう。複雑なデータやシステムに負荷が多くかかる情報処理を求める場合は、クラウドAIを選ぶことをおすすめします。
エッジAIを導入する際は、管理や運用にかかるコストも考慮しましょう。エッジデバイスは、クラウドAIのようにサーバー管理ではなく、それぞれの端末ごとに処理を行います。そのため、アップデートする際は、全ての端末を一つずつメンテナンスしなければなりません。
特に、大規模なシステムでは、多数のエッジデバイスを監視し、ソフトウェアの更新やセキュリティ対策を実施するための運用体制を整えることが重要です。
しかし、複数のデバイスの管理には、手間とコストがかかります。メンテナンスは一度きりではなく継続的に行うため、大規模になるほどコストも上がります。
もし自社で運用体制を整えるのが難しい場合は、外部の専門会社に依頼したり、クラウドAIでサーバー管理の負担を軽減したりすると良いでしょう。
エッジAIの性能を存分に生かすには、ローカル処理とクラウド処理を適切に組み合わせたデータ活用が重要になります。
エッジデバイスは、データを即時に処理できる利点を持つ一方で、計算リソースやストレージに制約があります。そのため、長期的なデータ管理や大規模な分析には向いていません。
しかし、エッジAIとクラウドAIを組み合わせることで、それぞれの強みを生かした効果的なデータ活用が可能になります。具体的には、エッジAIは即時の判断が必要なデータをリアルタイムで処理し、クラウドAIで蓄積したデータを分析するイメージです。
このように、ローカル処理による即時対応とクラウド連携による高度なデータ活用を組み合わせることで、より柔軟なシステム構築が可能になります。
エッジAIは、従来のAIとは異なりエッジデバイス上で情報処理を行う技術です。サーバーを経由せずに情報を伝達するため、自動運転や製造現場の異常検知などの迅速な判断が求められるシーンで活躍します。
またローカル環境で情報を解析するため、セキュリティ対策の一環にもなるのも特長です。顧客の個人情報や社内の機密情報をインターネット上でやり取りする企業は、エッジAIに切り替えることで情報漏えいのリスクを軽減できます。
情報社会で企業が成果を上げるには、迅速に物事を判断することが重要です。エッジAIで情報を素早く処理し、社内の生産性工場を目指しましょう。
「amie AIチャットボット」は、AIの技術を活用した回答精度の高いチャットボットです。今回紹介したエッジAIを活用して作成したドキュメントをamieと連携させれば、リアルタイムの現場データを反映した情報提供が可能になります。
さらに、amieは複数の回答候補を提示し、視覚的に内容を把握しやすいサムネイル表示機能も搭載しているため、より迅速に回答できるのも魅力です。AIを活用した業務効率化を考えている企業担当者さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。