業務効率化とは? 進め方やおすすめツールを紹介
2024.11.14
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企業の問い合わせ対応業務は、顧客満足度を大きく左右します。商品の価格やサービスの利用方法など、顧客から寄せられるさまざまな質問に対し、迅速かつ適切な回答が求められます。また問い合わせに関しては社内から寄せられるケースもあるでしょう。
近年では、これらの問い合わせ対応業務を効率化する方法として、AIの活用が注目されています。
本記事では問い合わせ対応業務の内容や課題、AIを活用するメリットなどを解説します。
目次
問い合わせ対応業務は次の2つに分かれます。
それぞれの業務内容について解説します。
社内では、人事や総務、経理など、さまざまな部署に従業員から問い合わせが寄せられます。例えば総務には、システムのトラブルや経費精算の手続きなどといった質問が直接届きます。質問が数件であれば通常業務の合間で対応できますが、従業員からの問い合わせが増え過ぎると、担当者は本来の業務に集中できなくなり、業務効率が低下する恐れがあるでしょう。
社外における問い合わせ対応業務は、企業にとって非常に重要です。電話やメール、チャットなど、さまざまな手段で寄せられる質問に、迅速かつ丁寧に対応することで、顧客の満足度向上につながります。例えば、商品の使い方や支払い方法など、顧客が抱える疑問をスムーズに解決できれば、リピート率の向上といった効果が期待できるでしょう。
一方で、問い合わせの対応が遅れたり、対応内容に問題があったりすると、顧客満足度の低下を招きかねません。特に、SNSなどを通じてネガティブな口コミが拡散された場合は、新たな顧客獲得の妨げとなる可能性があります。
問い合わせ対応業務は社内・社外共に重要です。しかし、問い合わせ対応業務にはいくつかの課題が存在しています。
問い合わせ対応業務が抱える課題の一つは、問い合わせ件数が減らない点です。問い合わせが絶えない状況では、担当者はそれらの対応に追われ、他の業務に手が回らなくなります。また通常業務が後ろ倒しになり残業が増えれば人件費の増加にもつながるでしょう。特に、対応マニュアルが整備されていない場合、問い合わせ内容ごとに対応方法を考えなければならず、担当者の負担はさらに大きくなります。
社内・社外から寄せられる問い合わせに対応し切れず、対応漏れが発生することも課題です。
特に、社外における問い合わせの対応漏れは、その後の売上に直結する可能性があるため、企業にとって大きな損失につながる恐れがあります。例えば、製品に関する問い合わせがあった場合、回答が遅れると、顧客が他社製品へと流れてしまうかもしれません。
このような対応漏れが発生する原因はさまざまです。電話やメール、チャットなど、複数の問い合わせチャネルを持つ企業であれば、担当者が全ての問い合わせを把握し切れていないケースが考えられます。さらに、難しい内容の問い合わせに対応する場合、確認に時間がかかり、回答が遅れる可能性もあるでしょう。
担当者によって問い合わせへの対応スキルが異なります。問い合わせへの対応品質は担当者の経験、適性によって変化するのが一般的です。例えば、何年も問い合わせ対応業務に従事しているベテラン担当者と、経験が少ない新人担当者とでは対応品質の差が生じる可能性があるでしょう。
このような対応品質のばらつきは、顧客の不満やストレスの原因となり、最悪の場合、信頼低下や取引停止にもつながりかねません。
対応品質のばらつきは、新人教育や研修によって、ある程度解消できます。ただし、従業員全員の対応品質をすぐに均一化するのは難しく、一定の時間が必要です。
問い合わせ対応は、社内・社外を問わず、特定の担当者が行うのが一般的です。これにより「属人化」の問題が発生します。
属人化が進むと、担当者不在時に、別の従業員では適切な対応が難しい可能性があります。特に社内での問い合わせ対応では、属人化によって、担当者の本来の業務が圧迫されかねません。
AIを活用すると、社内・社外を問わず、さまざまな問い合わせ対応を自動化できます。具体的には、電話やメールで受け付けた質問に対し、テキストや音声で回答することが可能です。これは、AIが事前に学習した情報を基に応答を生成できるためです。
従来のチャットボットシステムでは、想定される質問と回答のパターンを数多く用意する必要がありました。しかし、AIは問い合わせのやり取りを学習することで、対応可能な質問の幅を自然に広げていきます。
さらに、AIは人との会話のような自然なコミュニケーションが可能のため、利用者が親近感を抱きやすいという特徴があります。
AIによる問い合わせ対応を導入する際は、メリットとデメリットを把握しておきましょう。ここではAIによるメリット・デメリットを解説します。
AIが問い合わせに対応するメリットは次の通りです。
AIを活用した問い合わせ対応は、企業のコスト削減に貢献します。
従来の人力による対応では、複雑な問い合わせに長時間対応せざるを得ない場合があり、人件費が膨らむ要因となっていました。また、問い合わせの件数が増加すれば、それに応じて人員を確保する必要が生じます。さらに、従業員の入れ替わりによる教育コストも無視できません。
これに対して、AIは一度導入すれば、継続的な学習によって、多種多様な問い合わせに対応できるようになります。人件費や教育費を抑え、効率的な運営が可能になるのです。
企業にとって、過去の成功事例や従業員の経験から得られる知見(ナレッジ)は、事業を円滑に進める上で欠かせない財産です。AIを活用すれば、顧客からの問い合わせ内容と回答を学習し、さまざまなナレッジを効率的に蓄積できます。
またAIに蓄積されたナレッジは、問い合わせ対応に使用できるだけではありません。ナレッジを新人教育に活用することで、教育にかかる時間の削減にもつながるでしょう。
AIによる問い合わせ対応の大きなメリットは、知識や対応の属人化を防げる点です。人力で問い合わせ対応する場合は、特定の従業員にノウハウが集中しがちです。しかし、AIによる問い合わせ対応では属人化の心配がない上、問い合わせの質問と回答の内容が蓄積されていきます。
対応品質を均一化できることも、AIを活用した問い合わせ対応のメリットです。
問い合わせ対応を人力で行う場合、経験や知識の差により、回答の質にばらつきが生じがちです。一方、AIを活用すれば、学習データに基づいた一定水準の対応が可能となり、安定した品質のサービスを提供できます。
AIを活用した問い合わせ対応の大きなメリットは、24時間365日の対応が実現することです。人による対応では営業時間内に限られ、時間外対応には追加の人員確保が必要となります。
AIを導入すれば、新たな人材を採用せずに、いつでも問い合わせに対応できる体制を整えられます。顧客は時間を気にせず質問できるため、サービスの利便性も大きく向上する可能性があるでしょう。
多言語に対応できることもAI導入のメリットです。日本語以外の言語に対応するために、従業員を新たに雇う必要がありません。
多言語対応は特にECサイトに求められます。国外の消費者に商品を販売する越境ECの市場規模は拡大傾向にあります。経済産業省が行った「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によれば、対中国の市場規模は2兆4,301億円、対米国の市場規模は1兆4,798億円でした(※1)。前年度の市場規模が対中国で2兆2,569億円、対米国で1兆3,056億円だったため、それぞれ数千億円増加しています(※2)。
多言語に対応できるAIを活用した問い合わせ対応によって、海外の顧客への販売機会損失を防止可能です。
※1参考:経済産業省.「令和5年度電子商取引に関する市場調査」.“図表1-8:日本・米国・中国 3 ヵ国間の越境 EC 市場規模(単位:億円)”.https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240925001/20240925001-1.pdf ,(参照2024-11-17).
※2参考:経済産業省.「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」.“図表1-8:日本・米国・中国 3 ヵ国間の越境 EC 市場規模(単位:億円)”.
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf ,(参照2024-11-17).
AIには顧客からの問い合わせ内容が蓄積されます。システムに蓄積されたデータを分析することで、顧客がどのようなニーズを抱えているのかといった情報が得られ、マーケティングに活用可能です。また顧客の問い合わせを分析すれば、新たな商品、サービスの開発にもつなげられます。
問い合わせ対応に当たって紙のマニュアルや資料を用意している企業の場合、紙面の情報をAIに学習させることでペーパーレス化を実現可能です。
AIに学習させてペーパーレス化を図れば、マニュアルや資料をスムーズに確認できる上に、保管スペースを削減できます。また、紛失するリスクも低減できるでしょう。
AIで問い合わせに対応する際は次のようなデメリットに注意しましょう。
問い合わせ対応にAIを導入する場合、一定のコストが発生します。AIそのものの導入費用はもちろん、初期環境構築のためのコストも欠かせません。
しかし、長期的な視点に立てば、人件費削減で浮いたコストの方が多くなる可能性はあります。
AIは導入して終わりではありません。問い合わせ対応の精度を高めるためには、AIの精度を高めるブラッシュアップが必要です。具体的には、問い合わせに対して適切に回答できているのかをチェックし、必要に応じて修正することが大切です。
ブラッシュアップを怠ると、古い情報や誤った情報が残り、顧客の問い合わせに対して的確に回答できない恐れがあります。
AIの導入により自動で質問に回答できるものの、全ての質問に対応できるわけではありません。特に、長文や複雑な質問はAIには解析し切れず、適切に回答できない可能性があります。またクレームのように感情的な問い合わせの対応にもAIは不向きです。
AIによって問い合わせ対応するためには、セキュリティーリスクの対応も必要です。例えば、AIが再学習したことで情報が漏えいするリスクやハッキング被害に遭うリスクが想定されています。このようなリスクを避けるためには、AIに機密情報を学習させないことや、セキュリティーシステムで不正なアクセスを防止するといった体制作りが重要です。
AIを活用した問い合わせ対応は、さまざまな企業で行われています。ここでは社内・社外の問い合わせ対応にAIを導入した事例をいくつか解説します。
まずは、社内で発生していた問い合わせをAIで対応した事例を紹介します。
自社の従業員から寄せられていた問い合わせ件数を減らすために、AIを導入したケースです。当初この企業では、製造工程や管理方法などを紙の文書でまとめていましたが、より効率的なナレッジ蓄積と問い合わせ件数削減を目的として、AIの導入を決めました。
その結果、月に150件ほどあった問い合わせが40件までに減少し、担当者の工数も大幅に削減されています。
このケースでは、複数のカタログやマニュアルにまたがって掲載されていた製品情報を、AIに集約しました。システム導入前は製品情報を見つけ出すのに時間がかかり、顧客から質問を受けた営業担当者は、開発担当者に問い合わせをしていました。
製品情報をAIに集約したことで、営業社員はスムーズに顧客に対応できるようになっています。また、新人教育でもAIを活用し、育成にかかる工数の削減を実現しています。
以下は、社外における問い合わせ対応にAIを導入した事例です。
AIによる問い合わせ対応は自治体でも進んでいます。横須賀市は相談窓口として、「AI相談パートナー」の実証を行いました。「AI相談パートナー」とは電話や窓口での音声をテキストにした上で、相談内容に応じたサービスを提案するものです。
横須賀市はAI相談パートナーを導入したことで、職員の経験に左右されない、均一化された回答を提供できるようになりました。またそれまで課題であった残業時間の抑制にもつながっています。
AIの中には、問い合わせに音声で対応できるものがあり、実際にコールセンターなどで導入されています。
AIによる自動音声応答サービスを導入したことで、コールセンターに寄せられる問い合わせの対応を一部自動化できた企業もあります。
AIを問い合わせ対応業務に活用するのであれば、次のような注意点を押さえておきましょう。
問い合わせ対応業務にAIを導入するのであれば、目的を明確にしておくことが大切です。問い合わせ対応に用いられるAIにはテキスト生成AIと音声系生成AIがありますが、問い合わせの効果を上げるためには、適切な方を選ぶ必要があります。例えば、社内向けにAIでナレッジを蓄積するのであればテキスト生成が、コールセンターで導入するのであれば音声系生成AIが適しています。
メンテナンスしやすいシステムを選ぶことも大切です。
AIを導入した後は、定期的なメンテナンスが求められます。メンテナンスをせずに放置していると、どんどんと情報が古くなっていき、顧客のニーズに対応できません。例えば、自社サービスをリニューアルしたにも関わらずAIのメンテナンスを怠ると、誤った情報が顧客に伝わり、不信感を招く要因となる恐れがあります。
AIを提供しているベンダーによっては、どのようなデータを用いてメンテナンスをすればよいのかサポートしてくれるケースもあります。スムーズなメンテナンスを希望するのであれば、ベンダーのサポートを得られるシステムを検討すると良いでしょう。
問い合わせ対応にAIを導入するときは、AIによる対応に加えて、有人で対応することも想定しておきましょう。
AIを導入すれば、問い合わせ業務の負担を軽減できます。しかし、AIだけで全ての問い合わせに対応できるわけではありません。
先述の通り、複雑な質問や感情的なクレームといった問い合わせがあった場合に、適切に回答できない可能性があります。AIが適切に回答できない状態を放置していると、顧客の満足度低下につながります。そのため、問い合わせ内容に応じて、有人対応に切り替えられるようにしておくことも大切です。
問い合わせ対応にAIを導入するときは、セキュリティー対策が整ったシステムを選ぶことがポイントです。個人情報や自社の機密情報といった大切なデータを守るためにも、ベンダーが実施しているセキュリティー対策の内容などをよく確認しておくことをおすすめします。
またセキュリティー対策が講じられているシステムかどうかの判断基準として挙げられるのが、国際規格の取得有無です。AIを提供している企業が国際規格を取得しているかも確認しておくと良いでしょう。
問い合わせ対応業務は、顧客からの問い合わせに対応する社外対応と、従業員からの質問に対応する社内対応の2つに分けられます。そして、企業は問い合わせ件数が減らない、対応漏れが発生する、対応スキルが従業員によって異なるといった課題を抱えています。このような問い合わせ対応に関する課題を解決する方法の一つが、AIの活用です。問い合わせ対応業務にAIを活用することで、コスト削減やナレッジの蓄積、属人化の防止につながります。
問い合わせ対応業務にAIを活用するのなら、amie AIチャットボットがおすすめ。例えば、URLやファイルなどのデータも、ドラッグしてボタンを押すだけで学習できます。同じくメンテナンスも手軽にできるため、運用しやすいのも特徴です。
問い合わせ対応業務の効率化や属人化の防止を検討している方はぜひご相談ください。