中小企業向けにRPAが必要な理由を紹介! 導入メリットや成功のポイントも解説
2025.2.27
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近年は多くの企業がRPAを導入し、業務効率化や労働生産性の向上に取り組んでいます。しかし「思ったような効果が出ない」「導入がスムーズに進まない」といった問題に直面している企業は少なくありません。特に業務フローの作成でつまずいているケースが多数見受けられるので、基本的な業務フローの構成や作成ステップをよく理解しておくことが大切です。
本記事ではRPAを導入する際の業務フロー作成の重要性や基本構成、作成ステップ、作成のポイントについて解説します。RPA業務フローを導入して成功した事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
業務効率化や労働生産性向上を目的にRPAを導入するに当たって、業務フローの作成は必要不可欠なプロセスとされています。なぜRPA導入に業務フロー作成が必要なのか、その理由は大きく分けて5つあります。
RPAは、あらかじめ作成したシナリオに基づいて業務を自動化するツールです。そのため、定型化されている業務や大量のデータ処理・分析には向いていますが、人の判断が必要な業務や、イレギュラーな対応が多い業務には不向きです。
業務フローを作成する過程で、現在の業務内容や工程の洗い出しを行えば、RPAに向いているのか判断がしやすくなり、RPAを導入したものの思ったような効果が出ないというリスクを低減できます。
前述の通り、RPAはシナリオに沿って業務を遂行するツールなので、作成したシナリオの質が業務や作業の品質を大きく左右します。高精度なシナリオであるほどRPA導入後に期待できる効果がアップするため、作業手順を細かく、かつ正確にまとめた業務フローを作成しておけば、RPAをスムーズに導入・運用しやすくなります。
RPAのシナリオ作成やメンテナンスを特定の担当者に一任すると、その担当者が欠勤や休職、退職してしまった際、導入や運用、メンテナンスが滞ってしまう可能性があります。
業務フローを作成し、社内で情報を共有しておけば、担当者が不在のときにトラブルやエラーが発生したとしても他の人が対応しやすくなります。
シナリオや業務工程に無駄があると、せっかくRPAを導入しても思うように業務を効率化できません。
業務フローを作成して業務工程を可視化すれば、これまで気が付かなかった無駄が見つかり、業務のスマート化につながる可能性があります。
RPA導入後は、導入前に比べてどのくらいの成果を上げられたのか、定期的な検証が必要です。検証時に業務フローがあれば、どの工程でどのくらいの効果が出たのか把握しやすくなり、RPA導入による効果を効率的に検証できます。
RPA導入に必要な業務フローは、いくつかの段階を経て作成していきます。中には時間や手間のかかるステップもあるため、RPA導入のタイミングが決まっている場合は、早い段階から業務フローの作成に着手しましょう。
ここではRPA導入における業務フローの作成を5つのステップに分けて説明します。
RPAを導入する目的や理由は企業によってまちまちで、「業務を効率化したい」というケースもあれば、「ヒューマンエラーを減らしたい」というニーズもあります。
目的やニーズによってRPAの対象となる業務やツールの選定基準などに違いが出てくるため、まずはなぜRPAを導入するのかを明確にするところから始めましょう。
業務フローを作成するためには、どのような業務内容をどういった手順で行っているのかを全て可視化する必要があります。具体的には、業務の全体像を俯瞰し、作業内容ごとにプロセスや工程を細分化(カード化)していきます。
可視化する過程で不要だと思うカードを見つけたら、担当者同士で議論し、要・不要を判定しましょう。
棚卸しした業務の中から、RPAで自動化する業務を選定します。前述した通り、RPAによる自動化には向き・不向きがあるので、不適切な業務にRPAを導入しないよう注意が必要です。
RPAに向いている業務の特徴は以下の通りです。
1の定型化された業務には、請求書や納品書といった書類作成業務や、伝票の処理、賃金計算、定型メールの送信などが挙げられます。
2のスクレイピング業務とは、Web上から抽出した情報を分析・加工することです。例えば、競合他社のコーポレートサイトから商品の性能や価格などのデータを収集し、自社商品と比較するといった作業が該当します。
3のデータ分析業務では、自社が保有するデータを、ニーズや目的に応じて分析します。例えば、顧客データを性別や年齢といった属性や、購買履歴、購買行動などのカテゴリに区分し、その傾向を分析する業務です。
以上のように、ある程度ルールが決まっており、かつ取り扱うデータの量が膨大な業務はRPAによる自動化に適しています。
逆に、以下のような業務はRPAによる自動化に向いていないので、対象業務から外した方が良いでしょう。
可視化および細分化した業務(カード)を基に、業務フローを設計します。このとき、単純にカードを並べていくのではなく、カードをより単純化・簡素化できないかを考えます。業務がシンプルであればあるほど、イレギュラーの発生率や人の介在率が低くなり、より多くの業務を自動化できるでしょう。
場合によっては、手順の入れ替えなど大胆な構造の見直しが必要になるケースもあるため、現場の意見も取り入れながら慎重に設計していきます。
業務フローを設計したら、フロー図の作成に着手します。フロー図では業務内容に応じた記号を使用するため、まずはどのような記号を使用するのか決めましょう。使用する記号の種類は自由に決めてかまいません。以下に一例を挙げるので、参考にしてください。
図形同士は矢印で接続し、シートの中に作った枠(大枠・中枠など)に設置していきます。記号の設置順も任意で決められますが、流れが分かりやすいよう、上から下、左から右の順に置いていくのが一般的です。
まずは業務や処理を大まかに分類し、記号同士を矢印でつないでから、細かな処理内容を追加していくと良いでしょう。
RPA導入に伴う業務フローを作成するに当たって、押さえておきたいポイントや気を付けるべき点を説明します。
前述した通り、業務フローの作成には業務内容の属人化を防止するという目的があります。特定の担当者でないと理解できない業務フローになってしまっては本末転倒なため、誰が見ても分かりやすい構造・設計になっているのかが重要なポイントになります。
具体的な注意点は以下の通りです。
1つ目のポイントは、できるだけシンプルな内容にすることです。内容が細か過ぎると複雑になり、担当者以外に理解されない可能性があります。誰が見ても同じ解釈で実行できるよう、簡素な業務フローの作成を目指しましょう。
2つ目のポイントは、誰でも理解できるよう、なるべくかみ砕いた表現を用いることです。どうしても専門用語を使わなければならない場合は、小さく注釈を入れるなどの工夫を取り入れましょう。
3つ目のポイントは、「誰が(業務の担当者等)」「何が(システムやアプリケーション)」をはっきりさせることです。具体的には、誰からものを受け取って、誰に渡すのか、どのシステム・アプリケーションを使って作業するのかなどをはっきり業務フローに記載することで、エラーや作業漏れを防ぐことができます。
RPAの準備を十分に整えたつもりでも、導入・運用時にエラーが発生するリスクをゼロにすることはできません。エラーが発生するとRPAによる自動化がストップし、業務が停滞する恐れがあるため、エラー発生時の対処法を事前に決めておくことが大切です。
具体的には、エラーが発生したときの措置や、何らかの判断が必要になった場合の基準などを業務フローに書き込んでおくと、イレギュラーなことが発生したときでも素早く対応しやすくなります。
人の介在が必要な場合は、どのようなエラーが起こったときに、誰に報告し、判断を仰ぐ必要があるのか、などを明確に定義しておくのがポイントです。
業務フローの作成はRPAの導入担当者が行うのが一般的ですが、完成したフローは他の従業員にも共有しなければなりません。共有が十分でないと、担当者の不在時にエラーが発生した場合、他の従業員だけで対処できなくなってしまいます。
業務フローを作成したら、フロー図を社内で配布するか、あるいはクラウドサービスなどを利用して、他の従業員との情報共有を図りましょう。
なお、ただフロー図を共有するだけでなく、その仕組みや流れが十分に理解できているのかをチェックすることも大切です。必要に応じて説明会などを開いて、RPAや業務フローの周知および理解を深めるサポートを行いましょう。
ある業務フローにて、人の手で行う作業とRPAで自動化する作業が混在している場合は、RPAが担当する処理をなるべくまとめることを意識しましょう。業務フローが人→RPA→人……というふうに交互に混ざっていると、担当者が現場を離れることができず、付きっ切りの状態になってしまうからです。
人が行う作業とRPAに任せる作業を区別し、人→RPA→作業終了という単純なフローにしておけば、RPAが作業を担当している間、付きっ切りになる必要がなく他の作業に専念できる理想の構図が出来上がります。
業務のプロセス上、はっきり二分するのは難しいかもしれませんが、できる限りRPAが担当する処理をまとめれば、業務効率化に役立つでしょう。
作成した業務フローをRPAに落とし込んだら、必ずテスト運用を行いましょう。不備なくフローを作成したつもりでも、実際にRPAを運用してみると、「思うように動かなかった」「エラーが頻発した」といった課題や問題が見つかる可能性が高いです。
テスト運用を行ったら、その結果をデータとして取得・分析し、予想通りの結果を得られたのかどうか、意図しない動きがなかったのかなどを入念にチェックしましょう。もし課題や問題が見つかった場合は、その原因を精査し、必要に応じて業務フローの見直しや改善を行います。
なお、RPAの効果検証について、あらかじめ目標や達成度などを設定しておくと、改善の必要があるのかを判断しやすくなります。
RPAの導入によって一定の効果を挙げた例は多数あります。ここでは業務フローを作成し、RPAの導入に成功した事例を2つご紹介します。
全体の流れや作業の手順がある程度決まっている定型業務は、RPA化に適した業務の一つです。業務内容をカード化してフローに落とし込んだ上で、フローに沿ったシナリオを作成すれば、定型業務のほとんどを自動化することが可能になります。
例えば、請求書や注文書、納品書といった書式が決まっている伝票の作成や、各種伝票を受領した後のデータ入力作業をRPAにより自動化すれば、書類を作成する手間と時間を省けるのはもちろん、紙媒体をファイリングする労力や、紙面に印刷するコストの節約にもつながります。
また計算式やルールが定められている給与計算や経費精算などの業務も、RPAによる自動化が可能です。会計システムと連携させれば、入力作業の二度手間を省ける上、誤入力や計算ミスといったヒューマンエラーの防止にも役立ちます。
RPA導入に伴って業務フローを作成したことそのものが、業務効率化に役立ったケースもあります。
業務フローを作成するには、その業務を棚卸しし、業務内容をカード化した上で、RPAで自動化しやすいよう設計し直さなければなりません。上記の過程で業務の内容や手順を可視化してみると、これまで何気なく行っていた業務が実は不要なものだったことに気付いたり、より効率的な手順に気付いたりするきっかけになります。
無駄な部分を省いてスマートな業務フローを作成すれば、フローを構成する工数の削減につながり、業務の効率化につながります。業務フローの中にはRPAに一任できる部分だけでなく、人が介在しなければならない部分もあるため、フロー全体をスマート化すれば、従業員の負担も削減できて一石二鳥です。
また作成した業務フローを社内で共有すれば、誰が担当しても均等な業務品質を保てるようになります。担当者不在により業務が停滞したり、顧客からの問い合わせ対応が遅延したりするリスクが少なくなるため、組織全体の労働生産性の向上も期待できます。
RPAの導入を成功させるには、業務フローの作成が不可欠です。業務の内容や手順を可視化した業務フローを作成し、RPAのシナリオに落とし込めば、これまで手作業で行っていた業務の自動化が可能になります。
また業務フロー作成の過程で見つかった不要な手順をカットしたり、全体の流れを見直したりすれば、業務全体の効率化につながるでしょう。
なお、RPAで自動化・効率化できない業務に関しては、AIチャットボットでカバーするという方法があります。AIチャットボットは一定のルールに基づいて動くRPAとは異なり、AIが学習したデータを基に質問に適したな回答を提示することが可能です。
例えば、社内から寄せられた問い合わせ内容を分析し、的確な回答やアドバイスを提供できます。このように、定型化しにくい業務を生成AIチャットボットで補えば、社内業務の大幅な効率化につながるでしょう。
amie AIチャットボットは、手間のかかるシナリオ作成やFAQの準備不要で、社内ドキュメントから迅速に学習できる便利な生成AIチャットボットです。一度質問すれば複数の回答候補が出てくるので、初めてチャットボットを利用する方でも検索機能を使用する感覚で使いこなすことが可能です。
社内DX推進の一環としてRPAの導入を考えているのなら、併せてamie AIチャットボットの導入も検討してみることをおすすめします。