チャットボットとは? 使い方や活用方法、運用で起こりやすい問題点を解説
2024.9.26
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顧客対応や業務効率化を目的にチャットボットを導入する企業が増え、市場規模は国内外で拡大を続けています。国内のチャットボット市場は2023年度に前年から109.9%の成長が見込まれており、国外でも2024年から2029年にかけて年平均成長率24.32%の成長が予測されています。
AI技術の進歩に伴い、チャットボットの認知度や利用率も上昇しており、今後さらに多くの分野での導入が期待されているのです。
本記事では、チャットボットの国内外の市場規模やその拡大の背景、将来性について詳しく解説します。また、これから導入を検討している担当者の方に向けて、AIチャットボットの選び方のポイントも紹介します。
導入の際は、費用よりも「何ができるか」に注目した業者選びが鍵となりますので、ぜひ参考にしてください。
チャットボットとは、チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉です。ユーザーが入力するテキストや音声に対し、コンピューターが人間に代わって自動で会話を行うプログラムです。チャットボットを導入して会話を自動化すると、これまで従業員が担当していた顧客からの問い合わせに対応する業務などを任せられるため、業務効率化につながります。
チャットボットの仕組みは大きく分類して、ルールベース型とAIベース型の2種類があります。
ルールベース型はシナリオ型とも呼ばれます。事前に設定した対話フローに基づいてユーザーとやり取りできるシステムです。選択肢を提示しておき、ユーザーが選んだ内容に応じて作成しておいたシナリオに沿った自動回答が行われます。自由度は低いですが、キーワードに基づいて正確な情報を提供できることがメリットです。
また、比較的容易に導入できるのもルールベース型のメリットです。カスタマーサポートや、社内ヘルプデスクの定型的な回答で完結するケースに導入すると従業員の負担を減らせます。
AIベース型は、自然言語処理や機械学習などの技術を用いて、会話形式での対応が可能です。学習によって返答が改善されていき、使用期間に応じて精度が向上していきます。複雑で自然な会話を実現するため、AIベース型は近年人気が高まっています。
詳しくは「チャットボットの仕組み」をご覧ください。
チャットボットの国内市場規模は年々増加しています。矢野経済研究所の「ビジネスチャットツールの国内市場規模推移・予測(事業者売上高ベース)」によれば、2022年度は前年度比129.7%の330億5,500万円、2023年度は前年度比109.9%の363億3,000万円(見込み)とされています(※)。
※出典:株式会社矢野経済研究所.「ビジネスチャットツール市場規模推移・予測」.https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3452 ,(参照 2024-02-14).
2020年度から2021年度はコロナ禍の影響で在宅勤務が増え、環境整備のためにビジネスチャットツールの導入が急増しました。2022年度は在宅勤務が難しい現場向けに、業務効率化に向けた打ち出し方をしたことで、幅広い業界で導入が進みました。
一方、2023年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行し、在宅勤務から職場勤務へ切り替える企業が増えたため、前年度までに比べると伸び率が鈍化しています。
現状、ビジネスチャットツールは出勤が必須となる現場ワーカーを完全に取り込めているわけではありません。コロナ禍ほどの伸び率ではないものの、今後も伸び続けると見込まれています。
2024年度で395億2,000万円、2025年度には418億5,000万円、2026年度には437億5,000万円、2027年度には454億5,000万円に達するものと予測されています。
株式会社グローバルインフォメーションが2024年2月に発表した「チャットボット:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2024~2029年)」によれば、世界のチャットボット市場規模は2024年に70億1,000万米ドルと推定されています(※)。
また、2029年までに208億1,000万米ドルに達すると予測され、2024~2029年の予測期間中に24.32%のCAGR(年平均成長率)で成長する見込みです。
国外も新型コロナウイルス感染症の発生によるロックダウンの影響で、多くの組織が在宅勤務を取り入れるようになり、チャットボットの導入が大きく増えました。国外のチャットボット市場は、小売業界で大幅な成長を遂げています。また、工業化が著しく進むアジア太平洋でチャットボットのニーズが高まり、大幅な成長率が見込まれています。
※参考:株式会社グローバルインフォメーション.「チャットボット:市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2024~2029年)」.https://www.gii.co.jp/report/moi1444894-chatbot-market-share-analysis-industry-trends.html ,(参照 2024-10-01).
チャットボットの市場規模が拡大した主な背景には、需要が増加したことやより便利になったことが挙げられます。市場規模が拡大を続ける理由を確認していきましょう。
日本は少子高齢化が進み、主な働き手となる15〜64歳の生産年齢人口が減少しています。生産年齢人口の減少による人手不足を解消するため、チャットボットを導入する企業が増えています。
チャットボットは人間の代わりに24時間365日休みなく顧客対応を行えるため、人手不足解消や業務効率化に有効です。
働き方改革とは、一億総活躍社会を実現するための取り組みです。2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行されました(※)。
働き方改革の課題には、主に次の3つが挙げられます。
働き方改革が求められる背景には、生産年齢人口の減少による人手不足が挙げられます。働き方改革によって労働環境を改善すれば、生産性の向上につながります。チャットボットは業務を自動化できるため、うまく活用すれば労働時間の削減が可能です。従業員は顧客対応にかかる負担を軽減できて、他の業務に時間を活用できます。
※参考:厚生労働省.「「働き方」が変わります!!」.https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/000306823.pdf ,(参照2024-10-01).
チャットボットの活用範囲が広がったことも、市場規模が拡大した理由の1つです。AI技術の進歩により、チャットボットは高度な会話能力を持つようになりました。
顧客からのよくある質問に回答するなどといったシンプルなやり取りだけでなく、より幅広いユーザーのニーズに応じた対応を実現できます。例えば、テキストではなく音声で対応できるボイスボットは、コールセンターやカスタマーサービスの業務効率に役立ちます。
チャットボットをコミュニケーションツールと連携すれば、顧客にとってより便利になります。日本ではLINEが広く普及しているため、チャットボットをLINEと連携すれば、気軽に利用してもらいやすいでしょう。
例えば、予約や注文の受け付けなどにチャットボットを利用すれば、24時間365日対応可能です。従業員が不在でも対応できるため、顧客にも企業にもメリットがあります。
あるAIポータルメディア運営会社が2021年6月にチャットボットを導入済み、または導入検討中の企業100社を対象に調査した「チャットボット導入推進の実態」によると、チャットボットの導入率は3割とのことです。
まだ導入していない企業の中には、1年以上リサーチを続けている企業も少なからずあるようです。これから導入する企業が増えることが予測され、まだ伸びしろがあると考えられます。
また、利用率について2019年12月に、あるソフトウェア開発会社が運営する情報サイトが行った調査によると、チャットボットを知っている人は71.9%、利用したことがある人は21.7%でした。年代別には10代が最も多く38.0%、続いて20代が29.5%、30代と40代が22.0%、50代が15.0%、60代が12.0%です。
チャットボットは国内外で市場規模が拡大しているため、今後さらなる成長が予想されます。チャットボットの将来性を考えてみましょう。
先述の通り、チャットボットには種類がありますが、今後はAIの進歩により生成AIを活用したチャットボットの普及が拡大するでしょう。生成AIとは膨大なデータからAIが処理を行い、文章や画像などを自動で生成するシステムです。
生成AIとチャットボットを組み合わせることで、あらかじめプログラムを用意していない問い合わせにも対応できます。顧客や社内での問い合わせにスムーズな対応が可能なため、生産性の向上や業務効率化によるコストカットにつながります。
チャットボットは飲食・ファッション・観光・不動産・金融などさまざまな業界で普及しています。例えば、飲食業ではオーダーや会計、デリバリーのオーダー、予約・キャンセル対応などにチャットボットを活用し、業務効率化を図っています。
観光業ではチャットボットを旅行プランの提案、予約・キャンセルの対応、24時間対応の問い合わせなどに活用可能です。チャットボットなら時間を問わず、閉店後でも対応できて機会損失を防ぎます。
今後は教育分野でも普及が進むでしょう。チャットボットを教育分野に活用すると、生徒一人一人の理解度に合わせて学習計画の提案をしたり、学習のサポートを提供したりできます。また、学生からのよくある質問をチャットボットにまとめておくと、定型的な回答を自動化できるため、教職員の負担を軽減できます。チャットボットなら学生も気軽に質問できるため、学生にとっても教職員にとってもメリットが大きいでしょう。
チャットボットはさまざまなサービスが提供されているため、選び方に迷うかもしれません。チャットボット選びを間違えないためのポイントを紹介します。
チャットボットの導入には、初期費用とランニング費用がかかります。費用はAIの搭載有無によって大きく変わります。費用の安さを最重視して選ぶと、期待したほどの業務改善効果を得られない可能性があるため、チャットボットを選ぶ際は「何ができるか」に注目して選びましょう。
まずはチャットボットの導入目的をはっきりさせます。チャットボットを導入して、どのような課題を改善したいのか明確にすれば、必要な機能が明らかになります。自社が求める機能を搭載したサービスの中から選ぶことが大切です。
最後にAIチャットボット「amie」の導入事例を2つ紹介します。
福祉用具の貸与や販売など医療福祉業を行っているA社では、新しいビジネスモデルの通達やマニュアルを随時配信していたため、拠点側は何がどこにあるか分からず、その都度本社に電話で問い合わせをするような状況でした。
かなり多くの通達や指示、資料が随時配信されるため、チャットボットの導入に際し一問一答を作るのは困難です。そのため、既存資料を取り込んでチャットボットを作成できる点が、amieを選ぶ決め手になりました。
検索性の向上が導入の目的ですが、実際に使ってみると質問のキーワードに対してマニュアルが多くヒットするため、欲しい情報を横断的に探しやすくなりました。今後は他部署の資料も順次増やし、従業員が気軽に問い合わせできるツールになるよう拡大していきたいとのことです。
建設業のB社は、社内の総合的な問い合わせ窓口がなく、分からないことはおのおのが各担当部署に問い合わせていました。また、資料は社内データベースで検索していたため、効率化と各種資料の有効活用のためにチャットボットの導入を検討していたそうです。
amieを選んだのは、既存の社内資料をそのまま取り込めることや、大量のFAQを準備する必要がなかったことが決め手だそうです。POC(概念実証)で使い勝手を確認したところ、8割以上の従業員から社内データベースでの検索より良いと好反応でした。
実際に導入してからは、欲しい情報がサムネイル表示で見つけやすく、社内で高い評価を得ています。今後はさらに学習させて、検索や問い合わせの無駄を省き、短縮した分の時間を有効活用したいとのことです。
チャットボットは、在宅勤務を余儀なくされたコロナ禍で急激に市場規模が拡大しました。新型コロナウイルス感染症は5類に移行しましたが、今後もAIの進歩によってチャットボットの利用シーンは増え、さらに市場拡大が見込まれます。
本記事の後半でamieの導入事例を紹介しましたが、amieはスピーディーに導入できるAIチャットボットです。チャットボットの導入で業務効率化に期待できても、シナリオ設計などの準備に手間がかかるため、導入に踏み切れない企業もあるでしょう。
amieはドキュメントやWebサイトなど既存の資産を有効活用するため、従来のチャットボットのようにFAQやシナリオ作成の必要がありません。また、チャットボットの精度を上げるためにはFAQの見直しや更新が必要ですが、amieは最新版のドキュメントを再アップロードするだけでメンテナンスできるため、手間を省けます。
チャットボットの導入をご検討中の担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。